第二十二章 霊媒師 岡村英海

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おはぎと大福を先回りして、父さん達の部屋で僕は待機した。 読みがハズレていなければ、間もなく2匹はココにくるはず。 たぶん壁をすり抜けて、ババーンとやってくるはずなんだ。 …… ………… ………………ババーン! 来た! 壁をスルリとすり抜けて、2匹はそのまま床の上に倒れ込む。 『にゃばばばばばばばばばb! カベ! カベ! 今! カベの中を通ったにゃーーー!』 大きな霊体(からだ)をジタバタさせて、壁の中をすり抜けたのだと、おはぎは大いに慌てていた、……が、や、待って、今更ソレを言う? ドアとか普通にすり抜けてたじゃん、父さん達にもさわれなかったじゃん。 だったら壁も同じでしょうよ、すり抜け上等、どこでも出入りできるでしょうよ。 もしかして、壁はダメだと思っていたのかな? かな? なんで? ドアに比べて厚みがあるから? それともただの思い込み? なんにしたってコレで分かった。 だからおはぎは無理をしてでも階段を使っていたのか。 『し、知らなかったにゃ、壁、通れるんだ……壁にぶつかったらそのまま中に入っちゃったんだにゃ、こんなコトなら階段はつかわなくても良かったんだにゃ、……それより! 小雪! 小雪は!? 小雪はどこにいったの!?』 巨大なおはぎは上半身をムクリと起こしてキョロキョロしてる。 小雪こと、大福を探しているのだ。 いないいないと騒いでいるけど……おはぎさん、お探しの小雪ちゃんならアナタのオシリでつぶれてますよ。 『……おはぎ、重たい、どいて、』 くぐもったお姫の声が、おはぎの下から聞こえてきた。 聞いたおはぎはますますキョロキョロ、左右上下と目線を飛ばし、そしてとうとう視つけたの。
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