第二十二章 霊媒師 岡村英海

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『にゃにゃ! 小雪! なんでこんなところでつぶれてるんだにゃ!』 心底驚いた! そんな声でおはぎが聞くと、 『なんでって、おはぎが降ってきたからよ』 大福はもっとも過ぎる答えを返した。 大きな霊体(からだ)をノソノソと動かしおはぎがどくと、大福は乱れた毛皮をんべんべと毛繕い。 さすがはお姫、オシャレ黒帯。 こんな時でも身だしなみは完璧だ。 『小雪! 本当に小雪なんだね! 小雪、小雪、嬉しいにゃ、また会えて嬉しいにゃ! あのね、おはぎね、んとね、トウとカアに会いたくてね、だからね、らいちゃんのあとをコッソリ着けて現世に来たの、それでね、すぐにワルイオジサンにつかまってね、そしたららいちゃんが助けてくれてね、そのあとオウチまで送ってくれてね、サンに怒られてね、らいちゃんは虹の国に帰ってね、だからおはぎ、おはぎだけで頑張ったんだけどね、トウとカアはおはぎに気づいてくれないの、』 あはは、落ち着けおはぎ。 情報が多すぎだ(しかもカケラばっかり)。 ぜんぶ視てる僕なら意味が分かるけど、ちゃんと説明しないとさ、大福には分からないよ。 と、思っていたのに。 『…………そう。雷神号に紛れて現世に来て早々悪霊に襲われて……それを雷神号が助けてくれたのね。雷神号はおはぎが心配で岡村邸まで送り、おはぎを助けた事でミッションクリアとなった雷神号は虹の国へ戻っていった……そしておはぎは、せっかく会いに来たのにご両親に気づいてもらえず、コンちゃんのウロコで巨大化してポ現で気づいてもらおうとした、けれど気づいてもらえない……そういう事だったのね、』 大福は、幼い仔猫の言葉のカケラを拾い集めて組み立て直し、もうそれ完全に一致レベルで事情のすべてを理解したのだ。
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