第二十二章 霊媒師 岡村英海

119/159
前へ
/2550ページ
次へ
____ヒデミはおはぎのお兄ちゃん、 そう言われても、”ハイそうですか” とすぐには納得いかないみたいで、怪訝そうな顔をする。 『へにゃ……アイツ、本当にヒデミなのかにょ? 昔より大きくなったって小雪は言うけど……へにゃははは、いくらなんでも大きくなりすぎだにゃ。そんなの信じられにゃ…………(ハッ! ピコーン!)へ、へにゃ! も、もしかして、ヒデミもコンちゃんのウロコを使ったの!?』 んぷっ! そう来たか、笑わせないで、使ってないし。 チガウよ、あれから28年間。 良く食べて良く寝ていたら勝手に大きくなったんだ。 へにゃ?へにゃ?と小首を傾げる可愛い仔猫は、いまだ理解が追いつかない。 だがこれは仕方がないと思うんだ。 おはぎの寿命はたったの2年、あっという間に虹の国へと旅立った。 そう……あまりにも短くて、ヒトは、ネコは、イキモノは、時を経て成長するという過程を見る機会がなかったのだ。 岡村家におはぎが来た時、両親(ふたり)はすでに大きかったし(そりゃそうだ)、僕は生まれて間もない赤ん坊。 そこから2年で多少は大きくなったけど、2才児の僕と30才児の僕とじゃあ……ねぇ、おはぎにしたらぜんぜん違うイキモノだ。 『ぷぷっ! チガウわよ、ウロコは使ってないわ。間違いなくあの子が英海(ひでみ)。そうだ、あとで匂いを嗅いでみたら? そうすれば分かると思うけど』 大福は両親(ふたり)のベッドにコロンと寝そべり、同じく隣で寝そべっているおはぎの額をザリザリ舐めた。 僕は当然、うっとりゴロゴロ、仔猫は喉を鳴らすものだと思ってた。 だがしかし、おはぎはちょっぴり不満げにこんなコトを言い出したんだ。 『そうだ、思い出したんだにゃ! 小雪はさっき、おはぎのコトすぐに分かったって言ってたにゃ、なのになんで知らんぷりしたの?(ジトー……)』 あ、そういやそうだ。 あの時姫は、壁の中に隠れてしまってコッソリ顔だけ出していたんだ。 知ってるなら、仲良しなら、声をかければ良かったのに。 なんだって知らんぷりをしたんだろ? その割に2匹になったら普通に話すし、なにか事情があるのかな。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加