2366人が本棚に入れています
本棚に追加
『うなな……! ご、ごめんねぇ、おはぎを知らんぷりしようと思ったんじゃないの。あとで声をかけようと思っていたのよ』
あらら、大福が焦ってる。
さっきまでの ”頼れるお姉ちゃん” はドコ行った。
『ホント?(ジトーーーーーーー)』
プ、プレッシャー!
金色のカワユイおめめが半開き、子供のジト目は圧がスゴイや。
『ほ、本当よ。だっておはぎは私にとって妹みたいなものだもの。ただ、』
『ただ?』←おはぎの声。
ただ? ←僕の声。(ハモった)
『ただ、そばに英海がいたから……』
えぇ!?
そうなの!?
僕のせい!?
な、なんで!?
ややや、ゴメン、なんでか分かんないけどゴメン!
大福の爆弾発言。
僕があばばとテンパッてると、大福は少し黙っておはぎのほっぺをペロリと舐めて、ポツリポツリと話し出したんだ。
『……おはぎはこの家の子供で幸せだった?』
聞かれたおはぎは一瞬ポカンとしたけれど、
『うん! 幸せだった! トウとカアは優しいから大好きにゃ。いっぱいだっこしてくれたし、いっぱい遊んでくれたし、おいしいゴハンもいっぱいくれたんだにゃ。おはぎ、ササミが好きなの』
すぐに元気にこう答え、本当に……本当に幸せそうな顔をしたんだ。
『そう、おはぎは大事にしてもらってたのね。ニャン生は短かったかもしれないけど、この家の子供で良かったわね』
『うん!』
『あのね、さっき、すぐに声をかけなかったのはね、おはぎがお父さんとお母さんを大好きなように、私も英海が大好きだからなの。もちろんおはぎのコトも大好きよ。それと……私のコトは忘れてしまったけど、お姉ちゃんも大好き』
静かな声だった。
大福は僕もおはぎも、それから ”お姉ちゃん” ……前の飼い主さんの事も大好きだと言った。
『私は今、おはぎのお父さんとお母さんの子供、英海と一緒に暮らしてるの。現世に来て初めて会ったのが英海でね、とっても強くて優しい子なのよ。私はあの子に救われた。……辛かった事、悲しかった事、そういうのぜんぶ、たくさんの愛情で癒してもらったの、』
大福、違うよ。
僕は何もしていない、僕の方が癒してもらってるんだ。
姫が隣にいるだけで、どうしようもないくらい幸せになるんだもの。
『私は英海が大好き。大好きだから……あまり心配かけたくなかったの。あの時、おはぎを視た時すぐに分かったけど、あのまま話をしたら、虹の国であった事、お姉ちゃんに置いてかれちゃった事、英海に知れてしまうと思って。おはぎはなにも知らないから、英海の前で話してしまうかもしれない。だから隠れて、あとで2匹になった時に、しゃべっちゃダメよってお願いしようと思ったの。ごめんね。おはぎはなにも悪くなくて、すべて私の都合だわ』
大福……そうだったのか……なのにごめん。
僕はすべてを知ってしまった。
おはぎの霊視で一緒に視てしまったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!