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えぇ!
いいのに!
またあの謝ってるんだか脅してるんだか、よくわからんような斬新な謝罪を受けるのかと思うと……
「ぷっ!」
「え? なに? どうしたの?」
「いや、なんでもない、思い出し笑い。あのねユリちゃん、いいんだよ。僕はみんなが楽しそうに笑ってるのを見てるだけで幸せな気持ちになれるんだから」
「でも! ママが言ってた。岡村さんがいなかったら、もっとお化けみたいなママと再会する事になったのよーって。……ねぇ、そんなにすごかったの?」
「お化けなんかじゃなかったさ。そりゃ少しだけケガの跡があったけど、それだって治したのはお婆ちゃんだ。僕はなにもしていない。それにね、本当の事を言うと、僕はまだ霊媒師になって1週間のド新人なんだ。ユリちゃんのママにはたくさんの事を教えてもらった。お爺さんだって口は悪いけど優しい人だ」
「爺ちゃんを嫌わないでくれるんだね……岡村さん、ありがとう」
「や! ちょ! ユリちゃんがそんな事言わなくていいんだよ!」
「いいじゃない、ありがとうだからありがとうなの! さ、用意できたよ! お皿とかナイフとか持ってケーキはあっちで切ろう! ママにホールのままの見せてあげたいし!」
はっ!
そうか!
そうだよね!
僕はキッチンで切り分けてから持って行こうと思ったけど、ベベのケーキは見た目も繊細でキレイだと評判なんだ。
それを田所さんに見せる前に切っちゃダメだよな。
ユリちゃん……さすがは女の子だ。
草食とはいえこういう時、男って本当に使えない。
反省しよっと。
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