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あはは、しっかし豪快な味見だったなぁ。
毛繕いをする時みたいに、手とか顔とかペロリと舐めたらそれで済むのに、なんでワザワザ頭っから食べるかな。
本当にびっくり、ヒトクイネコかと思ったよ。
ま、でもいいんだ。
今となっては笑えるし、なんてったって味見のおかげで僕が ”ヒデミ” と分かってくれた。
そだよ、あの後おはぎは僕の名前を呼んだじゃない。
____ひにゃ……ひ……ひ……ひ……ひでみっ!
って。
名前呼んでくれたの……嬉しかったなぁ。
呼んだ後は疲れてしまって、そのままスヨスヨ寝ちゃってさ。
あんなに上手に言えるだなんて、おはぎ、きっといっぱい練習したんだろうな。
いつかの未来、父さん達が迎えに来たら驚かそうとたくらんだのかも。
イタズラ仔猫が考えそうなコトだ。
そう思ったら可笑しくて、だから、さっきみたいに笑おうとして、なのになんでか逆さまで、じんわり涙が出てきてさ、……変なの、どうして泣きたくなるんだろう。
目の前には過去の世界のおはぎと大福。
可愛いくて優しくて弱くて強い、僕の大事な猫達だ。
2匹は仲良く毛繕いなんぞしちゃってさ、まったくもってケシカラン。
視ているだけで幸せになっちゃうよ。
愛しさが込み上げて、大好きが溢れちゃって、どうしようもなく____
____ああそうか、
なんで泣きたくなるのか、その理由が分かったよ。
今流してるこの涙、これは愛情なんだ。
2匹が愛しく胸いっぱいになっちゃって、入りきらないはみ出た分が涙になって流れてるんだ。
そか、そうか、そうと分かればこうしちゃあいられない。
はやる気持ちをなんとか抑えて霊視解除の言霊を唱えた。
そこから数秒、目の前のキュートな2匹がフェードアウトで徐々に消え、代わり、フェードインでやっぱりキュートなリアルの2匹が現れた。
……
…………
初霊視にして長丁場。
生身の僕は、父さんのベッドの上で仰向けに寝転んでいた。
アイタタ……身体が痛い、腰も肩もバキバキだ……って、そりゃそうだろう。
仰向けの僕の胸には2匹の猫が、さも当然と言わんばかりに乗っかり眠っていた。
すよすよ……くっかぁー ←おはぎの寝息。
ふぐふご……ぷっすー ←大福の寝息。
「重た、」
僕は首だけグィッと上げて、呑気に寝ているユーレー猫をジッと視て、そして、両手でもってギュウッと強く抱きしめると……
『うなぁ……?(ボヤァ)』
『へにゃぁ……?(ポワァ)』
2匹は同時に目を覚まし、だけどすぐに二度寝した。
あはは、カワイイ。
やっぱり本物は違うな。
帰ってきた、2匹の元に帰ってきたんだ。
これで事情はすべてわかった。
愛しい愛しい仔猫のおはぎ、このあとは僕にぜんぶ任せてね。
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