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これからお姫とご対面、……なのだが、“大福が視つかった” という朗報で、少しだけど肩の力が抜けたみたい。
いつもの調子を取り戻し、母さんは「あんたに夜食があるの」と、おにぎり3つを出してきて、父さんは「お茶飲むかい?」とハーブティーを淹れだした。
ちなみにきなこはさっきから、僕の胸にしがみついてるおはぎに目線が釘付けだ。
てかスゴイな、本当に視えてるんだな。
猫なのに霊力持ち。
きなこがもし人間だったらウチの会社にスカウトしたい、……って、やっぱりダメだ、心配で現場になんか出せないよ。
霊視で霊力を使った僕は、カロリー消費で腹ペコだった。
なもんで夜食はありがたい。
シャケ、梅、おかか、爆弾みたいなおにぎり3つを瞬殺で平らげて、つかえる喉をスペアミントのハーブティーで流し込む……と、あっという間にお腹が膨れて大満足だ。
気力も霊力もチャージ完了、というコトで僕の膝でアンモニャイトで丸まる姫を「先生、出番です」と時代劇風に起こしてみた。
『……うなぁん、』
チロ、と片目を薄く開け、四肢を伸ばして眠気を払う。
大福はすくっと立って首を伸ばすと、僕とおはぎと、その両方に鼻ちゅーをしてくれた。
よし、準備オッケーだ。
「父さん、母さん。あのね、ウチで起きていた怪現象、すべての謎が解けたよ。誰が何の為にあんなコトをしてたのか、これからぜんぶ説明する」
おぉ!!
両親の声が重なった、……と同時、硬い空気が流れだす。
ああ……せっかく力が抜けたと思ったのに……まぁ、無理もないか、怪現象にずっと悩んできたんだもの。
でもね、だいじょうぶダイジョウブ、父さん達も大丈夫だからね。
「それで、話を始める前に視てほしいモノが、……いや、会ってほしい仔がいるんだ。今からする話は ”幽霊” とか ”死後の世界” とか、そういうのがメインになる。だけど、霊感の無い父さん達からすればピンと来ないと思うんだ。だから今夜は特別、2人にも幽霊を視てもらいます」
えぇ!?
おっと2回目。
またもや両親、キレイに声が揃ったわ。
ま、そうなっちゃうよね、いきなりこんなコト言われたらテンパるよね。
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