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「じゃあ、おはぎは "虹の国” という所からイチニャンだけで ”この世” に来たのかい? あぁ……なんて無茶を……! おはぎ、大丈夫か!? どこもケガをしてない? 痛い所はない? この世には車も電車も通ってるし、悪い人もいるかもしれない……あぁぁぁ! 分かっていれば迎えに行ったのにぃぃぃ!」
そう言って頭を抱える父さんは、またもや涙目だ。
一緒に聞いてた母さんも涙目なのだが、さすがは母親、頭を抱える代わり、気丈にもおはぎの霊体をくまなくチェック。
そして、なんともないコトが分かると……
「はぁぁぁぁ……良かった……! どこにもケガはないみたい。……だけどホントに無茶するわよねぇ。おはぎは昔からそうだった。好奇心旺盛で、なんでもやってみないと気が済まないの。ちょっと目を離すととんでもないコトしてるのよ……(トオイメ…)ねっ、おはぎ。あんたはヤンチャでイタズラばかり、カアは毎日大変だったわぁ」
ぶちゅー!
大変だったと言いつつも、すこぶる笑顔でおはぎにキッス。
触れるコトは出来ないけれど、仔猫の頭にエアーキッスの雨あられだ。
それを視ていた父さんは、
「あ! 母さんばっかりズルイぞ! おはぎ、コッチにおいで~、トウもぶちゅーしてあげるよ~」
と、デレデレしながら手招きをしはじめた。
おはぎは大忙しだ。
カアのぶちゅーが嬉しくて、『へにゃあん』と甘えて目を細めるも、コッチでトウも呼んでる。
トウのぶちゅーも外せないし、カアのそばにもこのままいたい。
金目をキラキラさせながら、どうしようかと悩んでいると、さらにココにきなこが参戦。
生きてる猫は、ゆっくりパチパチ瞬きしながら鼻ちゅーでご挨拶をしてくれたのだが……これにおはぎは歓喜した。
岡村家に来て初めて会ったきなこ。
トウとカアの子供なら、おはぎにとっては新しいお姉ちゃんだ。
姉妹だもの、家族だもの、仲良くしたいと思っていたのだ。
だが、おはぎが巨大化した事で、お姉ちゃんを怖がらせてしまった。
嫌われたかと心配したが、こうして優しくしてくれる。
『へにゃあ、へ、へにゃあん!』←訳:今まで怖がらせて悪かったにゃ、お、お姉ちゃん!
『ほにゃにゃ、ほにゃあん』←訳:もういいにゃ、妹よ。
おはぎときなこ、2匹の会話を聞いた僕らは、ズキューーーーンと胸を撃ち抜かれ、
「「「ウチの仔達が仲良しになった……!!」」」
親子揃ってパーフェクトにハモったのだ。
……
…………
おはぎ、めちゃめちゃ幸せそうだ。
父さん達にこれでもかと可愛がられ、きなこも優しくしてくれる。
これまでの辛い思いが、ぜんぶぜんぶ報われたんだ。
あ……そういや、聞いてなかったな。
おはぎが一番知りたかったコト。
トウとカアに真っ先に聞きたかったコト。
____おはぎのコト覚えてる?
____今でもおはぎのコトが好き?
あはは、
おはぎも、僕も、聞くの忘れてたよ。
もっとも……聞くまでもなかったんだけどさ。
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