第二十二章 霊媒師 岡村英海

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それからの3日間。 僕達はずっとずっと一緒にいた。 父さんは急遽会社に電話して、 「身内に(こう)がありまして! なのでお休みクダサーイ!」 と、有給申請。 てか、えぇ? そんなんで休めるの? って思ったけど、勢いだけはあったから、それで押しきり3日の休みをゲットした。 母さんは、たまたまシフトが入ってなくて余裕顔だ。 おはぎは大はしゃぎだった。 トウもカアも出かけるコトなく、フルで一緒にいてくれる。 嬉しくて興奮しちゃって『へにゃーーーーん!』と雄叫び(ただし弱そう)。 それを視たきなこも一緒に『ほにゃーーーーん!』と叫び(コッチも弱そう)、家の中は大騒ぎだった。 「はいはーい! みんなゴハン出来たよー! 集合ー!」 おはぎが現世にいる間、岡村家のキッチンは僕が預かるコトにした。 普段、食事は母さんが作るけど、スーパーに行ったり料理をしたり、その時間をおはぎにあててほしかったんだ。 その日のメニューは、人用ゴハンにビーフシチューとキッシュとパン(ジャッキーさん直伝)。 猫用ゴハンはササミを茹でてほぐしたモノを用意した。 「「いただきまーす!」」 『『『へにゃほにゃなーん!』』』←訳:いただきますにゃー!      「ハイ! 召し上がれっと!」 みんな揃ってモグモグパクパク、ワイワイガヤガヤ宴会みたいに盛り上がる。 「虹の国ではみんなで一緒に暮らしてるの? サンもシャチもしらたまもくろたまもキジの3兄弟も、みーんな一緒に? わぁ! 父さんも遊びに行きたいなぁ!」 「サン達も元気にやってる? そう、良かった。カアもトウもいつか必ず、あんた達を迎えに行くからね。それまで仲良く、いっぱい食べて、いっぱい眠って、いっぱい遊ぶコト! いいわね?」 父さん達は、猫達の虹の国の暮らしぶりが気になるみたいで、おはぎに色々質問してさ、みんなの様子を聞くたびに、それはそれは嬉しそうに頷いたんだ。 僕はさ、父さんはともかく……母さんの発言にヒヤヒヤしたの。 だってこんなの……大福は辛くないだろうかって思ってさ。 母さんはお姫の事情を知らないから、自分達が亡くなった後「猫達を必ず迎えに行く」って、そう、悪気なんてぜんぜんなく言うじゃない。 でも、それって、大福にしてみたらどうなんだろうって。 かと言って、大福がいる目の前で、「その話はチョット」なんて言おうものなら余計にお姫を傷付けてしまう。 おはぎもそれが気になるみたいでソワソワしてた。 どうしたものかと考えてると、母さんが大福に声をかけたんだ。
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