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父さん達への説明は、手短にしたつもりだった。
実際5分も経ってない。
本当はこんなに雑じゃなく、ちゃんと説明したかった。
でも時間がないの。
僕の頭の中には、霊視で視た雷神号が浮かんでいた。
彼の時がそうだったもの。
花弁が現れて、少しの会話はしたけれど、その後すぐに虹の国へと戻された。
そう……だからおはぎも、いつ消えてもおかしくない状態なんだ。
その不安を裏付けるように。
ゆるく舞ってた花弁に、急に速度が加わった。
四方八方、バラけていた虹色が円を描いて急降下。
サビ色の毛皮目指して集まり出した。
「ま、待って!」
母さんが悲痛に叫んで、おはぎの上に被さった。
父さんも上に重なり、母さんごとおはぎを隠す。
だが花弁は生者の身体を難なくすり抜け、おはぎの霊体に付着する……と、あっという間に虹の層が厚くなり、それに伴い色が徐々に溶けだした。
『へ、へにゃ! へにゃにゃにゃにゃ……!』
____待って! ちょっとだけ待って……!
父さん達の身体の下から声を大におはぎが叫んだ。
が、虹の国はそれに対して返事をしない。
なんで?
雷神号の時は天から声が降ってきたのに。
虹の国の役人さんが色々話してくれたのに。
『へにゃにゃ、へにゃへにゃ、へにゃへにゃへにゃにゃ、へにゃにゃ」
____帰るから、帰るけど、まだちゃんとお別れしてないにゃ、だから
返事がなくとも諦めず、おはぎはさらに声を張った。
ちゃんとお別れしてないからと、だから少し待ってくれと、一生懸命お願いをしてるんだ。
それなのに、返事もなければ花弁も止まらない。
こんなに小さな仔猫がさ、こんなに必死に頼んでいるのに、無視ってそりゃあないんじゃない?
駄目なら駄目で、お返事くらいしなさいよっ!
どうしよう、なんだか腹が立ってきた。
仔猫が、おはぎが、ウチの仔が、かわいそうじゃないのさ!
フンガー!!
先代バリにキレてしまった。
僕はなんだかムカムカしちゃって、どうにもこうにも止まらない。
その勢いで両手両五指、向かい合わせに印を組む。
シュバババババ!
視てるがいい、こんにゃろめ。
名ばかりとは言え、僕は希少の子なんだよ。
瀬山さん直伝、スゴイ技を視せてやるからっ!
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