第二十二章 霊媒師 岡村英海

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鼻息荒くマッハで印を結びきる。 ここから霊力(ちから)を溜めるけど、量はそんなになくていい。 ちょっとだけ、それなら秒でチャージが出来る。 それが出来たら次はイメージ。 うん、イメージが大事なの。 ____どうしたいの? 助けてあげたい。 もう少しだけ、おはぎを現世に留めたい。 贅沢言わない、あと少しで良いんだよ。 有無も言わさず戻すんじゃなく、ちゃんとお別れさせてあげたい。 父さんと母さんときなこと僕と大福、お互いに顔を視て、”元気でね”、”またね”、”大好きよ”、”これからだって忘れない”、 ”必ず迎えに行くからね” って、そんな言葉を掛け合いたいの、その為の時間がほしいの。 約束は守りますから、必ずおはぎを帰しますから。 だからお願い! 神様仏様虹の国の役人様! あとちょっとだけ時間をくださーーーーい! 溜めた霊力(ちから)を両手に蓄え、ズイッと一歩前に出た。 「父さん母さん! ごめん、ちょっとそこどいて!」 おはぎの上に重なる2人にそう言うと、引き離されると思ったみたいで「ぜったいヤダ!」と、どこうとしない。 ちょ、大丈夫だから、僕もおんなじ気持ちだし、てか、早くしないとおはぎが消えちゃう……! どうしよう、なんて言ったら分かってくれる? 時間がないのに、モタモタしてられないのに……と気持ちが焦ってテンパリかけた時だった。 なんの予告もないままに、お姫の尻尾のそのうち2本が手前に引かれ、 「「あーれー!!」」 悲鳴を上げる父さん達は、あっという間におはぎの元から引き剥がされた。 大福ぅ! ナイスアシスト! ありがとね、ホントにいつもありがとね!
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