2367人が本棚に入れています
本棚に追加
で、さっそく。
姫の尻尾で繋がった、おはぎを上から覗きこむ。
当のおはぎはビックリ顔で『へにゃぁ?』と可愛く視上げてる。
「おはぎ、そのままジッとしててね」
コクッと頷くサビ猫は、お顔以外は花弁まみれでナニコレ華やか、ウチの仔美ニャンと萌え転がった。
が、気合いで気持ちを引き締めて、両手のひらを、おはぎを包む花弁にあてた。
そして霊力を流し込む、優しく薄く、おはぎじゃなくて花弁だけに、……そして仕上げは言霊だ。
「虹の花、七つ色のキレイな花弁、これをおんなじ七色の、シャボン玉に再構築!」
どうだろう……頼む、頼むから変わってくれ……!
霊力で構築されたモノの再構築。
これは先月、瀬山さんから教わった。
W県の修行の時に、長の梵字を羽の文字に変えたんだ。★
虹の国の花弁は、霊力で構築したんじゃないけど、それでも理屈は同じはず。
向こうの世界のモノならば、それは電気の集合体だ。
僕の霊力を流し込んで、好きなモノに形を変える。
成功率は50%、2回に1回成功するから、これでダメならすぐに2回目リトライすればなんとかなるはず。
ああでも出来れば一発で決めたいよ。
どうかな、どうだろ、ここはひとつ……お願い!
祈る気持ちで視つめていると…………ヨシ! 形状変化が始まった!
花弁は、ふわりふわりと浮かび上がって宙を舞う。
浮かんだそれらは小さく丸まり、みるみるうちに膨らんで透明な球体となる。
その表面は七つの色が滲んで描かれ、だが数秒でパチンと弾けて消え去った。
おはぎの霊体の花弁が、すべてシャボンに変化したあと弾けて消えた。
消えた後、第二陣第三陣の花弁がおはぎの霊体に付着したけど、同じ作業でシャボン玉に再構築。
こんな作業の繰り返し、数えて5回が終わる頃には、部屋の中からすべての花弁が消え去った。
……
…………
これで落ち着いて話が出来る。
最後のお別れ、ちゃんと顔を視て言うんだよ。
おはぎは不安な気持ちで現世に来たの。
苦労してトウとカアに会ってさ、やっと安心出来たのにさ、それなのに……こんな別れ方をしたら心残りになっちゃうよ。
虹の国の役人さん、勝手なマネをしてごめんなさい。
あと1日とは言いません。
せめて夜が明けるまでの数時間、おはぎと僕達に時間をください。
★W県の修行の時に再構築をしたシーンがココです。
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1383&preview=1
最初のコメントを投稿しよう!