第二十二章 霊媒師 岡村英海

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で、さっそく。 姫の尻尾で繋がった、おはぎを上から覗きこむ。 当のおはぎはビックリ顔で『へにゃぁ?』と可愛く視上げてる。 「おはぎ、そのままジッとしててね」 コクッと頷くサビ猫は、お顔以外は花弁まみれでナニコレ華やか、ウチの仔美ニャンと萌え転がった。 が、気合いで気持ちを引き締めて、両手のひらを、おはぎを包む花弁にあてた。 そして霊力(ちから)を流し込む、優しく薄く、おはぎじゃなくて花弁だけに、……そして仕上げは言霊だ。 「虹の花、七つ色のキレイな花弁、これをおんなじ七色の、シャボン玉に再構築!」 どうだろう……頼む、頼むから変わってくれ……! 霊力(ちから)で構築されたモノの再構築。 これは先月、瀬山さんから教わった。 W県の修行の時に、(おさ)の梵字を羽の文字に変えたんだ。★ 虹の国の花弁は、霊力(ちから)で構築したんじゃないけど、それでも理屈は同じはず。 向こうの世界(・・・・・・)のモノならば、それは電気の集合体だ。 僕の霊力(ちから)を流し込んで、好きなモノに形を変える。 成功率は50%、2回に1回成功するから、これでダメならすぐに2回目リトライすればなんとかなるはず。 ああでも出来れば一発で決めたいよ。 どうかな、どうだろ、ここはひとつ……お願い! 祈る気持ちで視つめていると…………ヨシ! 形状変化が始まった! 花弁は、ふわりふわりと浮かび上がって宙を舞う。 浮かんだそれらは小さく丸まり、みるみるうちに膨らんで透明な球体となる。 その表面は七つの色が滲んで描かれ、だが数秒でパチンと弾けて消え去った。 おはぎの霊体(からだ)の花弁が、すべてシャボンに変化したあと弾けて消えた。 消えた後、第二陣第三陣の花弁がおはぎの霊体(からだ)に付着したけど、同じ作業でシャボン玉に再構築。 こんな作業の繰り返し、数えて5回が終わる頃には、部屋の中からすべての花弁が消え去った。 …… ………… これで落ち着いて話が出来る。 最後のお別れ、ちゃんと顔を視て言うんだよ。 おはぎは不安な気持ちで現世に来たの。 苦労してトウとカアに会ってさ、やっと安心出来たのにさ、それなのに……こんな別れ方をしたら心残りになっちゃうよ。 虹の国の役人さん、勝手なマネをしてごめんなさい。 あと1日とは言いません。 せめて夜が明けるまでの数時間、おはぎと僕達に時間をください。 ★W県の修行の時に再構築をしたシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1383&preview=1
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