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『ユリ……ママねユリに逢えて嬉しかった。あんなに小さかったユリが、こんなに大きくなって、立派になって、優しくて良い子に育ってくれて、ママね、本当に嬉しい。ねぇ、ユリ、ママの娘に生まれてくれてありがとう。ママね、たぶんユリに逢う為に生まれてきたんじゃないかなぁって思うよ。ユリと過ごした7年間、いろいろあったけど、不甲斐ない親でユリに迷惑かけちゃったけど、ママにとっては本当に幸せな7年間だった。もう二度と逢えないと思ってたのに、今日こうして最後に逢えて、家族みんなで楽しい時間を過ごす事ができて、ママ、本当に嬉しかった。ユリ、本当にありがとう。心から愛してる。ユリ、幸せになってね。それから……この先、好きな人ができて結婚するかもしれないけど、その時はお爺ちゃんみたいな人か、岡村さんみたいな人を選んでね』
えっ!?
僕みたいな人!?
や、ちょっと、田所さん?
冗談でもそういう事言っちゃダメですって。
僕、悪鬼にミンチにされちゃいますよ!
って……あれ?
今のはお父さんにも聞こえてたはずなのに、お父さんは黙ったまんまだ。
目から放たれるレーザービームで僕を焼き尽くしてもおかしくない発言だったのに。
苦虫潰した顔はしてるけど……
「ママ、結婚なんて気が早いよ」
えへへと笑うユリちゃんに、お父さんはヘドバンかってくらい頭を縦に振っている。
「でもね、もしもこの先、私が結婚したら。その時は……今度はママが私の子供に生まれ変わってよ。そしたらまた一緒にいられる」
田所さんは一瞬、時が止まったようにユリちゃんを見詰め、やがてくしゃくしゃに笑い、泣きながら『ありがとう』と呟いた。
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