第二十二章 霊媒師 岡村英海

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それを聞いた母さん達は呆れ半分、分かるけど……がもう半分。 も、もう! そんな目で見ないでよねっ! だって……心配なんだ。 前の飼い主さんと会ってさ、また大好き同士になったらさ、僕なんか忘れられちゃうかもしれないだろ? お姫が大好きな人だもん、素敵な人にきまってる。 そう考えたら僕涙目。 タタタと近付きギュッと胸に抱きしめて、 「大福……絶対帰ってきてね」 言いながらお姫の頭をスンスン嗅いだ。 大福は優しいお顔で『うなん』と鳴くと、ゴチンと頭突きで目を合わせ、ゆっくりと瞬きしながら…… 『うなぁん、』←訳:あたりまえにゃ、 と、僕の鼻を甘噛みしたのだ。 …… ………… そして、 大福は ”逝ってくるにゃー!” と言ったあと、 ____ブンッ、 電子機器の起動音に似た音を残し、僕らの前から姿を消した。 …… ………… 「行っちゃった、」 お姫を視送ったあと、息を吐いて呟いた……のだが。 その数秒後、天井から可愛くって元気な声が降ってきた。 【うっなーーーん! うななななー!】←訳:大成功にゃーん! もう着いたにゃー! 「「「えぇっ!? 早くない!?」」」←親子でハモった。 ちょ、大福、『逝ってくるにゃ!』と『着いたにゃ!』の間、時間にしたら1分も経ってないんだけど! 聞けば前に、黄泉の国で瀬山さんと白雪さんに修行をつけてもらった時、惑星単位の瞬間移動スキルを習得したのだと言ったんだけど(教えてくれたのは白雪さん)……マジか! それって特殊部隊のスキルじゃん! 大福天才、マーベラス!  てかさ、姫がそれを出来るというならもしかして、僕、口寄せを覚えなくてもいいんじゃないか? 口寄せをする時は「大福オネガイ!」ってそう言えば、お姫が死者を連れてくる、うっはー! 楽ちーん! ってウソです、自分でも覚えます。 と、とにかく無事に着いて良かったー!
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