第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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テンション高めでこう言うと、先代とユリちゃんはそりゃあもう楽しそうに『ビックリしたって!』「しちゃいますよね!」と笑い、それを視たら僕もなんだか笑っちゃう。 3人で和気あいあい、キャッキャウフフとしてたんだ。 そんな中、事務所のドアがカチャリと開いた。 誰かと思って振り返る……と、そこには。 「おはようございます」 額から汗を垂らして無表情。 淡々と挨拶をする水渦(みうず)さんが立っていた。 「おはようございます。朝から暑いですねぇ」 ユリちゃんは僕の時と同じように、ニコニコ笑ってそう言った。 先代も、 『モーニン、水渦(みうず)ちゃん。外は暑かったでしょう。冷蔵庫にお茶が冷えてますよ』 そう言ってほんわり笑う。 だから僕も2人に続いてご挨拶……と思ってさ。 「水渦(みうず)さん、おはようございます。なんだかすごくお久しぶりですねぇ」 手なんか振ってみちゃったり、普通に明るく言ったんだ。 それなのに水渦(みうず)さんは、僕を飛ばして先代とユリちゃんだけをジッと視たあと、 「先代、ユリさん、おはようございます。F県の現場は昨日で終わりました。報告書は自宅で作成済ですので後ほど提出させて頂きます。それからユリさん、始業時間が過ぎてからでかまいませんので交通費と宿泊費の精算をお願いします。終わり次第、次の現場へ向かいますので」 それだけ言って、自分の席へと向かったのだ。 え……っと、僕……無視されてる?
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