第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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「…………は、はい! 精算ですよね、分かりました!」 ユリちゃんはワンテンポもツーテンポも遅れをとって答えた後に、ササッと僕に近付くと声を潜めてこう聞いた。 「お、岡村さん!(コソコソ)なんで小野坂さんに無視されてるんですか!?(ヒソヒソヒソ)」 「し、知らないよぉ!(コソコソコソ)」 「何か気に障る事をしちゃったとか(コソコソ)、心当たりはないんですか?(ヒソヒソヒソ)」 「ないないない!(コソコソ)だって、そもそも会ってないもん! 最後に会ったのは約2か月前の6月だし(ヒソヒソ)」 「じゃあその6月に何かしちゃった?(コソコソ)」 「えぇ!? そ、そうなのかな、僕、なにかしちゃったのかな? でも覚えてないよぉ(ヒソヒソ)」 ぜんぜん心当たりがない。 会ってない人をどうやって怒らせるのよ。 それともユリちゃんの言う通り、6月にナニかやらかしたのかな。 思い出せ、最後に会った日の事を、あれは確か……そうだ、会社で会ったんだ。 まだ弥生さんが結婚する前。 弥生さん指名で、マジョリカさんからマジョリカさんの(・・・・・・・・)口寄せの依頼が入った日の事だ。 僕と弥生さんは3階の研修室にいて、ジャッキーさんのコトであーでもないこーでもないと話をしてたんだ。 で、社長のおつかいで水渦(みうず)さんが弥生さんを呼びに来たんだけど、顔を合わせた2人は秒で喧嘩を始めたの。 その時、水渦(みうず)さんがジャッキーさんとマジョリカさんの話を振ってきて、それだけでも炎上なのに更には、 ____大倉さんは志村さんが好きなのですよね?  ____ですが奥様がいて思うようにならないのでしょう?  ____だったら奥様を滅してしまえばいいじゃないですか、 ____ただの死者なのだから、 と、人としてあり得ない事を言ってしまったのだ。★ それを聞いた弥生さんは、怒りを通り越し呆れてしまって相手にはしなかったけど、その後僕は水渦(みうず)さんに色々……そう、説教じみた事を言っちゃったんだ。 もしかして、それを根に持ってるのかな……? でもな、あの時は怒ってる感じじゃなかったのよね。 話の流れで、水渦(みうず)さんに好きな人がいると聞いて(ガチびっくりした)、だったら、これからは何かを言う前に、同じ事を水渦(みうず)さんの好きな人が言われたら……と考えてからコトバにすればきっと喧嘩が減りますよって、水渦(みうず)さんも「なるほど」なんて答えてくれて、丸く収まったと思ったんだ。 あれ……? もしかして……実は収まってなかったのかな……? かな? ★弥生と水渦(みうず)の喧嘩のシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=803&preview=1
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