第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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車は滑るように車道を走っていた。 丁寧な運転は、下を向いて文字を追っても酔ったりしない。 社用タブレットの【依頼フォルダ】、僕はそれを食い入るように読んでいた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【依頼内容:霊祓い】 霊媒師の指名:無し/担当者・小野坂水渦(みうず)、岡村英海(ひでみ) 現場住所:Y県△△郡××××5番地 依頼者住所:Y県K市〇〇町8-2-1番地 希望日時:最短日 連絡先:090-△△△△ー〇〇〇〇(依頼者住所到着時、連絡要) 依頼者名:篠原修二様・63才(奥様とお2人暮らし) 料金説明:済み 【備考:必読要す】 現場は篠原様の別荘となります。 建物は元某会社の保養所で、昨年居住用にリフォームをされたそうです。 そのため篠原様の別荘以外まわりに建物はなく、林に囲まれ近くには湖があるとの事。 篠原様のご定年退職後、奥様と余生を過ごす為にご購入された別荘で怪現象が起こるとのご申告です。 具体的な内容としては、昼夜問わずのポルターガイスト現象、各部屋に人の気配、ご就寝時に半透明の人のようなモノ(・・・・・・・)に首を絞められる、誰もいないキッチンで大きな音がして見に行くと割れた食器が散乱している等となります(他にもご申告有、別途【篠原様ご申告内容ファイル】参照願う)。 今年の1月、初めて奥様と別荘に訪れ1週間滞在したところ、1日目から怪現象が起きたそうです。 それから日を改めて何度か滞在するも、現象は激しくなる一方で、とても住める状態ではなく、別荘暮らしを楽しみにされていたご夫妻は大変心を痛めています。 今回のご依頼は怪現象の原因追求と、ご夫妻が安心して暮らせるように、怪現象を鎮めてほしいと切願されています。 ※件の現場を先代が事前に霊視した所によると、かなりの数の悪霊がいるようです。くれぐれも気を付けてご安全にお願いいたします。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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