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うわ……これは中々ハードな内容だな……どういう理由か知らないが、別荘には何体もの悪霊達がいて、そいつらは悪意を持って篠原様に害を成す。
その内容も気になるよ。
”キッチンの食器が割れて散乱していた……” とあったけど、基本的に幽霊は、現世の物質に干渉出来ないはずなんだ。
特殊な霊力でも無い限り、さわりたくてもすり抜けてしまうから。
だが、これは大福が言ってた事だけど、干渉が絶対に不可能と言う訳ではない。
特殊な霊力が無い場合でも、激しい怒り、憎しみ、悲しみ、そういった感情の昂り等で自分の霊体の電気を削って手などに溜めて、その手で一気に、叩くように物質に触れば干渉が可能になるというのだ(とはいえ全部の幽霊がそれを出来るとは限らないが)。
ただし、この方法はリスクがあって、何度もそれを繰り返せば霊体に負担がかかってしまう。
そりゃそうだ、霊の霊体はいわば電気の集合体。
その電気を過度に消費し続けたなら、いつかは無になり消滅する。
それを知ってか知らずか……食器もそう、就寝中の篠原様の首をしめたのもそう、そしてもちろんポ現もだけど、別荘の悪霊達はその方法で物質に干渉しているのだろう。
依頼内容を読み終えた僕は、タブレットをカバンにしまって前を見た。
少し前に一般道から高速道路に乗り換えて、早い速度で車は進む。
車内は変わらず沈黙のままだった。
ハンドルを握る水渦さんは一言も発さない。
音楽もラジオもついていないから、静けさだけが気になって空気がやけに重苦しい。
このままじゃあダメだよな。
前に弥生さんが言ってたよ。
現場で誰かと組む時は、普段のコミュニケーションがモノを言う。
お互いの性格が分かっていれば、現場で相手がどう動くのか予測がつきやすい。
この人ならこういう時こう動く、だから自分はこう動く、そうやって上手く連携するのが大事なのだと。
そしてこうも言ってた。
____だからアタシはクソ水渦とは絶っっっ対に組まない!!
と。
はぁ……弥生さん、僕は今日、アナタが組むのをNG出してる水渦さんとツーマンセルなんですよ。
基本僕は誰と組んでもOKだけど、水渦さんが僕と組むのが嫌みたいで拒絶されまくってます。
前途多難だなぁ……とは言え本当になんとかしないと、このままじゃあ、現場で水渦さんがどう動くのか、1ミリも予測がつかないや。
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