第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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よし……篠原様のお宅に着くまでが勝負だ。 ココはひとつ、歩み寄ってみるか。 そう思ってチラリと見れば、その横顔は不機嫌全開。 話しかけるのを躊躇してしまう。 いきなりじゃダメだ(僕のメンタル的に)、徐々に徐々に段階を踏むんだ。 そう、リハビリ的な感じでさ。 まずはこの沈黙をなんとかしたい……音楽でもつけてみるか。 「……水渦(みうず)さん、音楽かけても良いですかね?」 一応聞いてみる……も、返事はない(だと思ったけど)。 なもんで勝手にスィッチオン。 備え付けのカーオーディオには、前回車を使った人がなんらかのCDを入れっぱなしにしているコトが多い。 なもんでスィッチさえ入れれば曲が流れるはずなんだ。 曲は始まった。 ハードなイントロ、ハイテンポな曲調だが聞いた事がない。 ま、知らない曲でも沈黙よりはいいだろうとそのままにしていると、イントロが終わったらしく歌声が聞こえてくるかと思いきや、歌詞の代わりに激しいトンツー音が始まった。 えっと……ナニコレ。 もしかして、モールス信号? え? 歌わないの? 代わりにトンツートンツーやってるだけ? え? え? え? ……あ、あーーー! この車! 前回乗ったのジャッキーさんだろ! 運転は別だろうけど、おそらく社長か(らん)さんとツーマンセルを組んだんだ。 でもってこの曲はジャッキーさんが大好きな深夜アニメの主題歌!★ 確かタイトルは…… 【戦国時代にタイムスリップゥ?赤点コレクター★レキナのもっと歴史の勉強しとけば良かった!丸腰女子高生、秒単位でライフがピンチ!戦火の中であばばばば!!】 とかなんとか、やたらと長いヤツゥ! 初めて聞いた! ホントにトンツーしかしてないや!  や、どうしよ、沈黙よりはマシだけど、曲にトンツー、これがなんとも落ち着かない。 プチ、 停止ボタンを押してみた。 だ、だめだ。 これ、ジャッキーさんと聞くんなら盛り上がると思うんだ。 だけどこの空気の中で聞くのはツライ。 ★深夜アニメの主題歌がトンツーであると、そんな話をしているシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=570&preview=1
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