第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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◆ 高速道路を降り、一般道を走る事数十分。 僕らを乗せた社用車は閑静な住宅街に到着した。 道路の端に車を停めた水渦(みうず)さんは、カバンの中からスマホを取り出し電話を掛ける……相手はもちろん篠原様だ。 家の近くまで来ているが、これから伺っても良いかと聞いている。 短いやり取りを終えた後、再びスマホをカバンにしまうと、水渦(みうず)さんはここで初めて、僕に向かって口を開いた。 「篠原様と連絡が取れました。これからすぐに訪問しても良いそうです。車も敷地に停めて良いと許可をいただきましたので直接向かいます」 抑揚もなにもない、短調な話し方。 無駄が無く端的で、そして目は合わせない、……が、それでも僕は少し嬉しくなったんだ。 だってさ、今の時間は11時。 朝の8時に顔を合わせて3時間、ずっと無視をされていたのに、やっと話してくれたんだもの。 少しは機嫌が良くなったのかな? それでなければ仕事だからと割り切ったのかな? てかそもそも無視の理由はなんなんだろ? この流れで……聞いてみるか。 エンジンをかけようとする水渦(みうず)さん、その横顔に急いで声をかけてみる。 「あの、水渦(みうず)さん。出発前に1つだけ聞いてもいいですか?」 ピタリと動きを一旦止めて、水渦(みうず)さんが僕を見る。 その表情は不機嫌全開、……あ、ヤバ、もしかして失敗のパターンかな、でもいいや、ここまできたら聞くしかないだろ。 「僕、何か水渦(みうず)さんの気に障る事をしたんでしょうか?」 勇気を出して言葉にしたけど、アウチ……やっぱり聞かなきゃ良かったか? 水渦(みうず)さん、固まっちゃったよ。 「……………………」 「……………………えっと……水渦(みうず)さん?」 水渦(みうず)さんは黙ったまんまで僕を見る。 その表情は……不機嫌がモロに出ていたさっきと違って、若干の戸惑いみたいなモノを感じる……とは言え、合ってるかは自信がないけど。 あぁ、これが弥生さんだったらなぁ。 あの人は分かりやすいよ。 考えてるコト、みんな表情(かお)に出ちゃうもの。
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