第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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え、そうなの? なんで?  ”ギューッ” と ”グッグッグッ” でなんで分かるのよ。 「ポカンとしないでください。説明を続けます。岡村さんはポ現がどうして起こるのかはご存じですか? 幽霊が壁や床を叩いて音を出す、あの現象です」 「それなら知ってます! 大福が言ってたんだ。自分の霊体(からだ)の電気を削って手とかに溜めて、それを一気に叩きつければ音が出るんですよね」 そうそう、これは前回おはぎの現場で知ったんだ。 可愛いおはぎと大福が、2匹で仲良く話しているのを霊視した時、そんな事を言っていた。 「そうです。すべての霊が出来る訳ではありませんが、霊が抱える怒り、憎しみ、悲しみ、はたまた喜び、そういった感情の昂りがきっかけで物理干渉を成功させる事があります。成功すると大抵の霊は味を占め、それを何度も繰り返し行います。自分の霊体(からだ)を削っているとも知らないで調子に乗るのです」 「えっと……調子に乗るかは分からないけど、でも、干渉出来れば驚くだろうし、嬉しく思うかもしれないですね。その霊力(ちから)を使えば、生者をより驚かせたり害を成したり出来るんだから……だけど代償も大きい。そんな事を続ければ、いつか自分の霊体(からだ)が消滅してしまうんだ」 言いながら、僕は神奈川の現場の事を思い出していた。 ピンクバンダー氏と仲間達、……その中でも絵里ちゃんは強烈だった。 彼女はポ現こそ起こさなかったが、自身の霊体(からだ)の電気を削ってフィギュアの中に入り込み、動かして、言葉を発し、黒十字様とふれあっていたんだ。 あのまま放っておいたら悪霊化は免れないし、さらに時を重ねればいつかは霊体(からだ)は消滅しただろう。 そうなる前に救えて良かっ………………あ……ああ……もしかして、そういう事か! 「水渦(みうず)さん、分かりました! 別荘にいる悪霊、少なくとも篠原様を襲ったヤツは、調子に乗って自分の霊体(からだ)の消費が進んでるって事じゃないですか? 誰かの首を絞めるなら、ギューッと力を込めますよね。それが小刻みだったって事は、継続して物理干渉するだけの霊力(ちから)がないのかもしれない、」 これ絶対正解だ!
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