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鼻息荒く答えた僕に、水渦さんはほんの少し口角を上に上げ、
「7割正解、といったところでしょうか。その悪霊に特別なこだわりが無いと仮定すれば、首を絞めるのに小刻みは不自然です。おそらく自身の霊体を消費しすぎて、継続干渉が難しいのでしょう。
そしてもう1つ、先程も言いましたが、恨み辛みが強くても、すべての霊が物理干渉を可能にする訳ではありません。霊の性格、感情、資質、そういった事も関係します。それはすなわち、別荘の悪霊達はある程度の霊力のコントロールが出来る事を意味します。滅そうと挑んだ時、予想以上の反撃を喰らうかもしれませんので注意が必要です」
淡々とそう言った。
「そうか……最初から油断は禁物という事なんだ……分かりました。気を引き締めます」
もちろん、油断をするつもりはない。
というか油断出来るほど現場に慣れていないのもある。
だけど、こういうのが初めから分かっていれば、一層気を付ける事が出来るんだ。
「是非とも気を引き締めてください。特に岡村さんと霊体は相互干渉が出来てしまいますから」
言いながら水渦さんは、ルームミラーに目をやった。
僕もつられて目線を移すとミラー越しに視線が合った。
彼女は秒でそれを逸らす。
「…………水渦さん、心配してくれてありがとうございます。僕、油断しないし、足を引っ張らないようにします。だから頑張りましょう。2人で協力して、それで、」
“悪霊共を滅しましょう” と続けるつもりだったのに、さっきと違って良い感じで話せてると思ったのに、
「精々頑張ってください。出発前に事務所でも言いましたが、今回岡村さんに如何なる事があったとしても、私は一切助けません。スキルが上がったのなら自己完結でお願いします。もちろん私の事も助けて頂かなくて結構です」
能面顔でにべもなく斬り捨てられたのだ。
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