第六章 霊媒師OJT-2

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◆ 霊道。 霊の為の道。 死者があの世に向かって迷う事無く進めるように、眩く光り、春の陽だまりに居るような暖かさに包まれる。 その道は進めば進む程、現世への未練が薄まって逝くべき場所へと進む事ができるという。 その道に導かれ家族はみんな逝ってしまった。 すっかりと陽が落ちて真っ暗になった部屋の中。 崩れるように座り込んだユリちゃんは声を殺して泣いている。 どのくらい時間がたっただろうか? 沈黙を破ったのは社長だった。 「おい、ユリ。電気のスイッチどこだ?」 「……電気?」 鼻をズルズル啜りながら健気に答えるユリちゃんは、こう続けた。 「そこの部屋の入り口の壁のトコ。だけどスイッチ入れてもつかないよ」 「ああ? なんでだよ?」 「だって、まだ買い物行ってないから照明ないもん」 え? そう言えば昼間みんなでケーキ食べた時も、テーブルがなくてキャリーバックを代わりにしたんだった。 言われてみれば今日1日、引っ越し業者はおろか、宅急便も来なかった。 何もない部屋の中、カーテンは? タンスは? 食器は? 着替えは? まさか……丸腰? 僕は恐る恐る聞いてみる。 「ねぇ、ユリちゃん。荷物はいつ届くのかな?」 ユリちゃんは顔を上げ照れたように笑い、 「ベットとかタンスとか実家から送ってあるけど、届くのは明日だよ。照明はどうせ自分で付けられないから、こっちで買って取り付けまでしてもらおうと思ってたの。えへへ……だめ?」 うわーこの子めっちゃ大ざっぱだわ。 「いやぁ、ユリちゃんが不便じゃなければいいんだけど、真っ暗なまま布団もないのにここで寝るの? それにごはんは? あ! そう言えばガス屋さんも来てないからお風呂も使えないよね?」
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