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竹を連ねた和の外構。
グルリと囲う広い敷地の真ん中に、大きな平屋の日本家屋が建っている。
今は外から眺めてる、この後は鍵を使って建物内に入るんだ。
篠原様に害を成す、悪霊達を滅する為に。
んで、
無許可で手繋ぎ、……いや、猛獣捕獲か?
僕はこの、わからず屋で皮肉屋で、冗談が高度過ぎて一般人には理解不能な困り者、水渦さんの肉厚ハンドを離すコト無く前進中だ(門柱から玄関まで距離がある)。
「岡村さん! 離してください!」
水渦さんは僕に引かれて小走りしながら、声を大に抗議する____が、
「拒否します。離しません」
今度は僕がにべもなく斬り捨てた。
斬り捨てられた水渦さんは、いつになく動揺してて返す怒声にいつものキレが見られない。
「は、はぁぁぁ!? な、何を言ってるんですか!? いいから早く離してください! セクハラで訴えますよ!」
「どうぞどうぞ、お好きなように。代わりに僕はパワハラで訴えますから」
ぐぬぅ……っ!
歯軋りの音がココまで聞こえてきそうなくらい。
水渦さんは苦虫をゴリゴリ咀嚼し大いに顔を歪めてる。
その後もわーわー色々言われたけども、基本無視で玄関前まで辿り着く。
パンツのポッケに手を突っ込んで、篠原様から預かった別荘の鍵を取り出した。
「じゃあ開けますよ。中に入ったら、まずは気配を探りましょう。それで霊も来ないようなら、外から視た1階の部屋に突入します。窓際に異形の霊がいたからね、」
いよいよだ。
鍵穴に鍵を差し込み、打ち合わせとは到底言えない、雑な流れを口にした。
聞いてるのか聞いてないのか、よく分からない水渦さんは、眉間にシワをめり込ませ、眉をハの字に僕の顔をジッと見る、そして、
「…………本当にもう離してください。中に入ったら別行動と言ったじゃないですか。これじゃあ好きに動けません」
あら珍しい。
水渦さんが困ってる。
ま、無理もないか。
嫌いな僕に無理矢理手を繋がれて、メンタルガシガシ削られてるんだ。
ココロの中では ”岡村キメェ!” に始まって、罵詈雑言が溢れてるに決まってる(いつ表に出てもおかしくない)。
でもね、僕は怒ってるんだ。
これは仕事でツーマンセルは業務命令。
先代は、僕と組めと言ったじゃない。
それに対して渋い顔はしたけどさ、それでも組むって確かにアナタは言ったよね。
なのにさ、土壇場になってさ、「やっぱり嫌です、別行動で」、そりゃないわ。
てな訳で、繋いだ手を更に強く握りしめ、
「ダメです、却下です。手を離すのは印を結ぶ時だけです」
能面顔で言ったった。
僕の断固とした拒否に、力弱いため息が重なった。
それを耳で聞きながら、差した鍵をグルリと回転させてやる……と、
ガチャ、
鈍くこもった金属音。
開いた……よし、行くか。
ドアの取っ手を手前に引いて、「失礼します」と声を掛け、僕達は別荘内におじゃましたのだ。
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