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と、いうコトで。
「それじゃあ開けますね、」
短く言って白木のドアに手をかけた。
水渦さんは黙ったままで、開くドアを見つめてる。
その指先は弾ける電気が花火のように光ってて、いつでも撃てると無言で語る。
ドアはゆっくり枠から離れ、キッチンが見えてきた。
目線を下げれば砕けたガラスが床一面に広がって、生者とって危険なゾーンになっている。
ドアが更に開いていくと、危険なガラスの絨毯に素足で立つ男の姿が現れた。
途端ゾクリと背筋が冷えて、恐る恐る目線を上げれば、外から視た異形の霊に良く似てた。
飛び出た目、耳まで裂ける大きな口、白目と黒目が反転してて、目が合えば、それだけで身体の力が抜けてくる。
異形を前に、水渦さんはいきなり霊矢を撃とうとしたが、その瞬間、僕はとっさに手を引いた。
「待って! いきなり撃ったらダメだ! まずは話を聞いてから、」
そう、もしかしたら、異形の霊にも言い分があるかもしれない。
聞いてからでも遅くはない。
そう思い、文句を垂れる水渦さんを宥めつつ、異形の男に向き直る……と、そこでガッツリ目が合った。
異形の霊は、僕を視て、水渦さんを視た。
ここまで何も喋らない。
ただただ僕らを順番に視てるんだ。
まただ……僕を視て、水渦さんを視て……、きっとまた僕に戻ると思っていたら今度は違う。
目線が下にどんどん下がり、異形の霊は、僕と水渦さんの繋いだ手を、食い入るようにジッと視て……
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