第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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水渦(みうず)さんはスマホを手に持ったまま説明を始めた。 「最初からおかしいと思ってました。貴方方が話をした時、ネットや書物でしか触れた事のない昭和の死語を連発させて……これは相当な年寄りだと感じました」 むぅ……水渦(みうず)さん、さっそく斬り込んできたよ。 相当な年寄りって……ねぇ、そうかもしれないけど、言い方な。 5人衆の、藤崎さんを除く4人は呆気にとられている(藤崎さんは免疫アリ)。 「途中、使われていた死語についてもネットで検索しました。それぞれのワードが流行っていた時期を見ると、年代が絞れてきます。それに加えて貴方方の手を視れば、絞った年齢に裏が取れます」 言われた途端5人衆は、揃って自分の手を凝視。 水分油分が明らかに不足していて、枯れ木の木肌を思わせる。 ゴツゴツと骨が目立って血管も浮いていて、そして色もくすんでるんだ。 「それらを合わせて予想すれば、貴方方は生きていれば70代後半、80代には届かない年齢だと思うのですがいかがでしょうか、」 探偵よろしく(本人はそんなコト思ってないかもだけど)、霊達(かれら)の年を当てにかかる水渦(みうず)さん。 言われた5人は『おぉ!!』と声を揃えてる。 「どうやら当たりのようですね。貴方方が恨んでいるシノハラ氏が、当時は部長で上司であったという事は、一般的に考えて貴方方より年上のはず、違いますか?」 5人衆は身を乗り出して『そう、年上!』と答えてる。 水渦(みうず)さんは大きく頷き、この後、シノハラさんと篠原様が別人である決定的な事を告げたんだ。 「そうですか。これで別人確定です。いいですか? 私達を雇った篠原様の年齢は現在63才、貴方方よりずっと年下です。同一人物のはずがありません」 あ……そうだ……僕も依頼書読んだのに、そこをすっかり忘れてた。 篠原様が霊達(かれら)の上司になりようがないんだ。 「ちなみにですが、63才の篠原様のご自宅はY県ですが、勤務先はずっと都内でした。おそらく、貴方方と篠原様は今までに会った事もなく、この別荘がファーストコンタクトだったのでしょうね」
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