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薄っすら蒼く光る便箋。
それを宙に浮かせたまんま、同じく光るペンでもってサラサラと文章をしたためる。
これ……どうなってんの?
机の上とか何かの台とか、そういうのなんにも無しで書いてるよ。
でもって字、上手いなっ!(僕のヘロヘロな字と全然チガウ)
意外な特技を視たところで、まだ書き続けてる水渦さんに声をかけた。
「いやぁ、【光の道】を呼ぶと言っても、霊媒師によって方法は様々なんですねぇ。僕はてっきり、水渦さんも黄泉に向かって呼びかけるんだと思ってました。弥生さんもジャッキーさんも大きな声で呼びかけてたし」
なんて、感心しきりでそう言ったのだが……しまった。
弥生さんの名前を聞いて、水渦さんは眉間にシワをめり込ませる程寄せちゃったよ。
まったく、相変わらず安定の仲悪さんだ。
「岡村さんの言う通り、道の呼び方は霊媒師によって様々です。志村さんは他の霊媒師とは事情が少し違いますが、声で呼びかけるという所は大倉さんと一緒です。うちの会社に限らず、余所の霊媒師も似たり寄ったりのようですね。ですが、私は違います」
「水渦さんはこうしてお手紙を書く派なんですね。でもどうして? 何か特別な理由があるんですか? 僕なんか単純に、話しかけたほうが楽な気がしちゃうんですけど」
頭のハテナと好奇心に従っての質問だ。
「どうして、……ですか。私の理由も単純です。ただ単にヒトと話すのが嫌いだからです。死者だろうが生者だろうが、なるべく話したくありません」
おっふ、これまた何て答えたらいいか分からないヤツ。
”ヒトと話したくない、なるほどですねー! じゃあお手紙なんてピッタリじゃないですか!” とかが無難だろうか?
いや待て、やっとのコトで水渦さんに道を呼んでもらえる事になったのだ。
ココで失敗したら、おへそカーブは間違いないから慎重にいくべきだ。
なもんで考えた末、
「あぁ、うん、なるほどね。うはははは」
と、多くは語らず曖昧に笑ってみた。
これが正解なのかは分からないけど、文章をしたためる手が止まらないから事なきを得たようだ。
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