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「えっと……この子は……?」
聞きながら、そーっと指を出してみた。
凛とした鳥の子は、僕の指には興味を持たず華麗なまでにスルーする。
あ、そ、そっか、やっぱり猫とはチガウんだな。
大福やおはぎなら、指を出せばすぐにスンスン嗅いでくるし、さらにはあむあむ甘噛みもしてくれる。
鳥の子みんながそうなのか、それともこの子だけなのか。
どちらにしても、簡単にはなびかないという気高さを感じるよ。
むぅ……この感じ、どことなく水渦さんに似ているような……と思っていたら、鳥の子は、いきなりンバッ! と片翼だけを広げると、そこに顔を突っ込んでカミカミカミカミ……くちばしで羽を整え始めたの。
その姿はすこぶる可愛く、すこぶる一生懸命で、でもってちょっぴりファニーな感じ。
やだ……ギャップ萌えしちゃうんだけど……!
「手紙はコレに届けてもらいます。伝書バトみたいなものですよ。書いた手紙を足に結わいて持たせるのです」
水渦さんの説明に、僕は「へー!」とか「すごーい!」とか、語彙力ゼロの合いの手ばかりを入れていた。
や、チガウのよ、ちゃんと聞いてはいるんだけど、なんてったって僕は動物好きなのだ。
ゆえに、羽ばたく鳥が手紙を黄泉まで運んでくれる、このシチュエーションに上がりっぱなしなのだ。
聞けばこの子は水渦さんの式神なのだそうだ。
主な仕事は黄泉の国へのお使いで、こうやって【光る道】を呼ぶ時や、口寄せをする時に召還するんだって。
「僕、水渦さんの式神を初めて視ました。でも意外だったな、まさか鳥ちゃんだなんて」
”ヒトと話すのが嫌い”、そう言い切っちゃう人だけど鳥は好きなんだ、と思っていたが。
「ああ、確かに今の式神は鳥ですが、コレを使うようになったのは最近です」
「そうなんですか? 前は違ったの?」
「違います。ヒト型の式神を数体使いましたが、どの式神も私とはやってられないと去っていきました」
「えぇ……マジで……? 式神って術者を守る者でしょう? その式神に嫌われるってナニしたのよ……」
「特別な嫌がらせをしたつもりはありません。い つ も 通 り に 接しただけです。なので、少し前まで黄泉に手紙を送る時は、霊力で構築したクロスボウを使っていました。大きな霊矢に手紙をつけて、現世から撃つのです」
「えぇ!? クロスボウで手紙送ってたの!? あっぶな! それめっちゃ危なっ! 光道の霊達もいい迷惑だな! ダメだからね! それ絶対ダメだからね!」
「……それは先代にも言われました。クロスボウはもう使っちゃダメとも。それで……先代に叱られた時に言われたのです、」
____黄泉の国には私からお詫びしておきます、
____ああいうモノは危ないから、むやみに使っちゃダメなのよ、
____反省するなら今回は許してあげる、
____その代わり……明日からなにか動物を飼いなさい、
____生き物と暮らしたら、きっと今より楽しくなりますよ、
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