第二十三章 霊媒師 水渦の分岐点

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あ、いけね。 今のはちょっと言いすぎか? と心配したけど、意外にも、水渦(みうず)さんは素直に聞いてくれたんだ。 「なるほど……そういうものなんですね……ふぅん、……そう言えば昔、姉と一緒に住んでいた頃、彼女も私に ”行ってらっしゃい” とか ”おかえり” とか ”おはよう” とか ”おやすみ” とか……ウルサイくらい言ってました」 あ……そうか。 この人、昔はお姉さんと一緒に住んでいたんだよな。 その時の事、思い出してほしいな。 「ん……良いお姉さんじゃないですか。水渦(みうず)さん、そう言われて嬉しかったでしょう? 鳥の子もおんなじです。優しい言葉をかけてあげたら喜ぶに決まってる。……あ、そういや鳥の子に名前はないんですか? さっきから ”コレ” とか ”アレ” とか呼んでたけど、」 何の気なしに聞いてみた。 あんなに可愛い鳥の子だもの、どんな名前か知りたいし、もしもまさかの名前無しなら、今すぐにでもつけてほしい……と、それだけだったのに。 コッチがビックリしちゃうくらい、水渦(みうず)さんがテンパった。 「な、名前ですか!? 言えません、秘密です! 絶対に教えません!」 「えぇ? なんで? 名前くらい良いじゃない。帰ってきたら、僕もあの子とお話したいし。なんて名前なの? 教えてよ。もしかして言えないくらいキラった名前なの? ”霊力” と書いて ”ミラクルパワー” とかそんなノリ?」 どう聞いても答えてくれない水渦(みうず)さん。 ”教えません!” の一点張りで逃げ回る。 僕はそんな彼女の背中を追いかけ、庭の中をグルグルグルグルしてたんだ。 すると後ろから。 浮かれたようなハイテンションの、声がビュンビュン飛んできて…… 『お二人さん、ヒューヒューだね!』 『アッチッチでドキがムネムネ(・・・・・・・)しちゃうぅ!』 『エル・オー・ブイ・イー! ほの字ほの字ぃ!』 『冷やかしちゃってメンゴメンゴ!』 『もしかして我々、おじゃま虫?』 道待ちの幽霊5人は、異様な盛り上がりを視せていた。 それに対して水渦(みうず)さんは「なにをバカな」とそっぽを向いて、僕も隣で「ちがいます」と言ったけど、幽霊達は退かなくて、さらに溢れる昭和ードに、結局みんなで大笑い(あ、水渦(みうず)さんは小笑いね)。 …… ………… そんなこんなで時間が過ぎて、ふと気が付けば夜空に光が視えたんだ。 キラキラと金色(こんじき)に輝くそれは、真っすぐこちらに伸びてきて…… そう、霊達(かれら)の為の【光の道】がやってきたのだ。
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