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ゆるやかな弧を描き、道は天から視る視るうちに降りてくる。
”綺麗だなぁ” と誰かが呟き、僕は声にはしなかったけど、小さく小さく頷いた。
本当に綺麗だ……金色に輝いて、道はシュワシュワ炭酸みたいに揺らめいてるの。
これに乗って逝くんだな、黄泉の国へ、5人揃って、今夜で現世を後にするんだ。
『…………本当に来てくれた……』
藤崎さんがポツリと言った。
その声は震えてて、さっきまで昭和ードではしゃいでいたのがウソみたい。
もしかしたら……不安だったのかもしれないな。
誤解とはいえ、霊達は生者を脅かした。
罪のない篠原様は、ここに来るたび怖い思いをしてたのだ。
真相を知った時、みんなは揃って後悔し謝罪の言葉を口にしたけど……そう、泣きながら何度も何度も謝って、霊達の中で誰1人、 ”自分達は悪くない” と……自己弁護をする霊はいなかったんだ。
そんな霊達だからこそ、黄泉の国は【光の道】を寄越したんじゃないのかな。
道はとうとう着地して、キラキラと輝きながら霊達を優しく待っている。
道の上にはいつの間にそこにいたのか、鳥の子が目を閉じて羽を休ませていた。
水渦さんはチラリと鳥に目をやって、だけどすぐに5人を視るとこう言ったんだ。
「おめでとうございます。最終的に、黄泉は貴方方を善霊と判断したようです。この道を____真っすぐ、ひたすら真っすぐ進んでください。そうすれば死者達の楽園、黄泉の国に到着します」
淡々とした話し方、ちっとも ”おめでとう” って感じじゃない。
カタイ、カタイなぁ、もう。
でもな、水渦さんの口角が若干上に上がっているから、これでも笑顔で送り出そうとしてるのかもしれない……たぶん、おそらく、そうだといいな。
幽霊達は道の前に並んで立って、モジモジしながら次々と感謝の言葉を口にして、そして同時、篠原様への謝罪の言葉を伝えてほしいと頭を下げた。
それから少し、霊達が黄泉に逝く前に、みんなで最後のおしゃべりをした。
黄泉の国に着いたらやりたい事がいっぱいある、5人で毎日釣りをするとか、おいしいご飯が食べたいとか、庄司さんは先に逝った犬のゴローを迎えに逝くとか……それに僕が、だったら虹の国に逝けば会えますよと教えてあげたり。
そういうの、いっぱい話して和やかムードでほんわりしたの。
そんな中、幽霊5人は改めて水渦さんにお礼を言ったのだが……
『水渦ちゃん、私達の為に道を呼んでくれてありがとね』
えっと……呼び方。
水渦さん→水渦ちゃんにエボリューション。
水渦さんは照れるでもなくフラットに「仕事ですから」と受け流す、……が、こんなんで退くような霊達じゃあない。
『もー、水渦ちゃん、クールなんだから!』
『スマイルスマイルゥ! ニコー! ほら! ニコー!』
『でもこれが良いのよ。かわいこぶりっこはキライだもん!』
『仕事が出来てナウなヤングでパーペキだね!』
『こんな可愛い娘に視送ってもらえるなんて、マンモスうれぴー!』
出るわ出るわの昭和ード。
水渦さんのガチ引きにもめげやしない。
昭和メンズの打たれ強さはマジパネェ。
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