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『それじゃあ私達、そろそろ逝くね』
藤崎さんが明るい顔でそう言った。
「みなさん、お気をつけて。今夜は月も星も綺麗だから、素敵な道中になると思います。僕はまだ黄泉の国に逝った事はないけれど、すごく良い所だと聞いてます。だから心配する事は何一つありませんよ」
僕が笑ってそう言うと、
『そうか、それを聞いて安心したよ。ああ、それとパンとゼリーとお茶もごちそうさまね。すごくおいしかった。ありがとう、岡村さん』
あはは、大袈裟だなぁ。
でも嬉しいや、みんなで食べると美味しいよね。
しかし、まぁ……キラキラ光る道の前。
5人はニコニコ笑ってるけど、改めて視てみれば魚ったフェイスに驚かされる。
ぶっちゃけ、顔だけ視ると誰が誰だか分からなくって、だから僕は、着ている服で視分けてたんだ。
顔……黄泉に逝ったら元に戻るかなぁ?
もしもダメならその時は…………大澤先生だ。
大丈夫、先生ならきっとなんとかしてくれる。
とは言っても、
『パンもゼリーもサンキューベリーマッチョ! なーんちゃってー!』←5人同時にマッスルポーズ。
あはは、本人達はぜんぜん気にしてなさそうだ。
……
…………
『よし、乗るぞ……乗るぞ……(ソォォォ……)あぁっ! やっぱり緊張しちゃうー! 道なら何度も視てたけど、乗るのは初めてだもーん!』
きゃー! っとはしゃぐ5人組。
道に足を乗せかけて、クルッと振り向きドキドキしちゃうと平たい胸を押さえてる。
あーあー、これってもしや ”昭和のお約束” 的なものなのか?
そゆの良いからさっさと道に乗らないと、そろそろウチのお嬢様が(水渦さん)お怒りあそばすと思うのよ。
知らないと思うけど、この人キレたら厄介だから、僕の仕事が増えるから。
なんてハラハラしてたら案の定、
「ふざけてないでサッサと黄泉に逝ってください。貴方方が逝かないと、いつまでたっても私の仕事が終わりません」
アイター。
ほらね、言わんこっちゃない。
さすがに霊矢は撃たないだろうと思うけど、とにかく言葉がキツイんだ。
慣れないヒトは良い大人でも鼻水垂らして泣いちゃうくらい。
そんな中、
『メンゴメンゴ! もう逝くから怒らないで! せっかくの可愛い顔がもったいないよん!』
笑いながらゴキゲンで中島さんがそう言った、……直後。
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