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「ちょっと……なんで岡村さんが泣くんですか、」
水渦さんはそう言って眉根を寄せた。
ああ……やっちまった……”泣きたくなった→結局泣いた”、このルートを辿った僕は、あろう事か今現在ガチ泣き中だ(でも嗚咽は漏らしてない)。
「や、スミマセン、……なんかね、水渦さん見てたら泣けてきちゃって、」
男のクセに泣くなんて、とか思ってるかな? ……思ってるだろうなぁ。
とりあえず、急いで両目をゴシゴシ擦り水分を拭きとった。
涙はコレでOK、……だがしかし鼻水が垂れてきそう。
でもティッシュがないんだよな、どうしよう。
僕が鼻をズルズルしてると、水渦さんがポケットティッシュを差し出した。
「え……使っていいの?」
「どうぞ。いつまでも鼻を啜られたら耳障りなので」
言葉キッツー!
でも優しいな。
「チーーーン! はぁ……スッキリした。や、なんかすみません。いきなり泣いてビックリしちゃいましたよね」
丸めたティッシュをポケットに突っ込んでからお礼を言うと、
「驚いたのもありますが、何よりも引きました。なぜ岡村さんが泣くのか意味が分かりません」
ツンケンしながらこう答えたのだが、はは……ジャスミンの香り、一層強くなってるよ。
「……や、ほんとスミマセン。自分でも引きました。仕事中に、しかも女性の前で泣くなんて。あはは、笑ってやってください」
「…………別に笑うつもりはありません。そもそも、岡村さんが泣こうが喚こうが私には関係のない事ですから」
「関係ないって淋しいなぁ。同じ会社の霊媒師同士じゃないですか。もっとこう仲間意識を持ってですねぇ、」
「仲間意識? そんなモノ、私には必要ありません。たまたま同じ会社に勤めてるというだけで、仲間とかそういう意識はありません」
ツーンと言い切る水渦さん。
あ、そう、ふーん。
そうですか、そゆコト言っちゃいますか。
ふーん、ふーん。
これは突っ込まざるを得ないな。
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