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そんな話をのんびりしながら、カバンの中からマイボトルを取り出した。
ボトルの中にはレモングラスのハーブティー。
爽やかでさっぱりとして、美味しいのはもちろんだけど殺菌作用があるからね。
季節の変わり目、風邪の予防に持ってこいの一杯だ。
「ああ……おいしい」
自分の席でゴクリと飲んで、朝のハッピータイムが始った。
なんか……平和だなぁ。
大きな窓から朝の光が差し込んで、社長は懸垂(まだやってるよ)、ユリちゃんはお姫とキャッキャと遊んでる。
会社全体、霊力を流した蔦に包まれ、結界が張られているから野良幽霊は入って来れない。
身内だけの気楽な空気で、なんだか眠くなってきちゃう。
と……そこに。
カチャ、
事務所のドアの開く音がして、同時「……ざいまーす」と、声ちっさ! 、そんな挨拶が聞こえてきたの。
この声はもしかして……
「嵐さん!」
振り向けばピッカピカの22才。
年下の優しい先輩が立っていた。
オレンジ色の明るい髪に、淡いベージュの薄手のニット、インディゴブルーのゆるっとデニム、足元は黒のシンプルスニーカー。
今日もおしゃれだなぁ。
「お、岡村さん、お、おはよ」
嵐さんは、ほんのり耳を赤くしながら、ふにゃっと笑顔で挨拶をしてくれた。
な、なんだこりゃ……可愛いな……!
「おはよ、今日は嵐さんも出社日だったんだね。僕、会えて嬉しいよ」
本当に嬉しい、だって久しぶりだもん。
繁忙期の最初の頃、この子の現場のヘルプに入ったあの日以来だ。
「ボ、ボクも嬉しい、……あ、し、社長、ユ、ユリさん、大福ちゃんも、おはよございまs……(ゴニョゴニョ)」
嵐さんは小さな声で、社長達にも挨拶しつつ僕の傍に寄ってきた。
時計を見れば、現在8時29分。
相変わらず遅刻ギリギリの出社だよ(たぶん寸前まで男子更衣室にいたと思われる)。
「今日は(交通の)精算?」
僕が聞くと嵐さんは「う、うん、」とコクコク頷きながら、上目遣いでこう言った。
「お、岡村さんがいてくれて、良かったぁ……あ、あのね、今日はずっと一緒にいてほしいの、ボ、ボクから離れないで、そ、そばにいて、」
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