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えっと……告白?
や、やだ……!
そうだったの!?
嵐さん、僕のコトが好きだったの!?
……って、チガウだろ。
僕、男だし、オッサンだし。
なによりも目が怯えているし(恋する顔ではない)。
「そばにいるのは全然オッケーだよ。てか、せっかく会えたんだもん。会社終わったら一緒にゴハン食べたいし。……というか、なんかあった? めっちゃガクブルしてるじゃない」
心配でそう聞いた。
もしかして……また僕に緊張してるのか? と、少しだけ思ったけどさ、そんな訳ない。
前に行ったN県の現場、キーマンさんと嵐さんとのスリーマンセル。
あの日依頼、僕らは結構連絡を取り合ってるのだ。
そのおかげで随分と仲良くなった、なのに今更緊張はないだろう。
そもそも緊張してたら、そばにいてとは言わないか。
「あ、ご、ごめん。きゅ、急にこんなコト言ったらビックリしちゃうよね。あ、あのね、朝ね、会社に来たらね、……い、いたの、今日はいないと思ってたのに、……お、お、小野坂さんがいたの、」
「え、水渦さんが? そっか、彼女も出社日だったのか……なるほど。それで嵐さん、怖くなっちゃったんだ」
コクコクコクコクコクコク!!
放っておけば延々コクコクしちゃうくらい、嵐さんは、怯えた顔で頷いて、僕のシャツをギュッと両手で掴んだの(ちょ、そんなに怖いんかい)。
「あ、朝に見かけて、ビックリしちゃって、こ、更衣室に隠れていたの。だ、だって、見つかったら、また、お、怒られちゃう……!」
子犬みたいなつぶらな瞳で、僕に助けを求めてる。
これガチですわ、水渦さんにガチ怯え。
てか、こんなになるまで何言ったんだ、あの人は。
「大丈夫だよ。僕がずっとそばにいるから。だから安心して。あとね、ん……嵐さんは信じられないかもだけど、ああ見えて水渦さんは優しい人なんだ。言葉は確かにキツイけど、圧もあるけど、おへそカーブもすごいけど。でも、ホントだよ」
「…………そ、そうなの?」
信じられない、そんな顔で小首を傾げる嵐さんに、僕はププッと笑てしまった。
嵐さんも釣られて一緒に笑ってしまって、でも、その後すぐに固まったんだ。
その理由というのが……、
ガチャ、
「おはようございます」
能面の無表情、不機嫌全開、なんなら今から霊矢でも撃ちますか?____的な。
朝から圧をまき散らす、水渦さんが出社したのだ。
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