第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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____お姉さまを一緒にさがそう、 こう言ったのはこれで2回目。 最初に言った時、水渦(みうず)さんは ”考えたい” と、話は一旦保留になった。 繁忙期中、僕らは互いに忙しくって話をする機会も作れず。 連絡先も知らないから、長い保留になっていた。 あれから2か月、随分時間が経ったけど保留解除になるのだろうか。 水渦(みうず)さんはクッキーを食べたあと、ハーブティーをゴクリと飲んだ。 そして小さく息を吐き、両手でカップを持ったまま、僕に向かってっこう言ったんだ。 「さっき……岡村さんは、私の事を ”面倒くさい” と言いましたよね。よく言います。貴方も充分面倒くさい方ですよ」 困ったような、泣き出しそうな、なんとも言えない表情だ。 圧なんかぜんぜん無い、僕を見る目が赤くって、ついでに言うなら頬も赤い。 なんか……様子が変だな……だけど……無理もないか。 春に言ってたじゃないか、”姉に会うのが怖い” って、”自分を恨んでいるはず” だって。 そうだよね、怖いよね、でもさ。 「僕も ”面倒くさい” のか、……ん、そうかもしれないね。こんなのただのお節介だ。でもゴメン。それでも僕はお姉さまを探したい。探して見つけて、お姉さまに会いに行ってもらいたいの。……ねぇ、水渦(みうず)さんはどうなの? 前に ”考えたい” って言ってたよね」 会いたくないのかな。 怖いかもしれないけど、大事な家族じゃないか。 「…………そうですね、確かに言いました」 そう言ったっきり、水渦(みうず)さんは黙り込み、持ったままのカップを見つめる。 ともすれば無言が延々続く気配で、それがなんだかもどかしくって、僕の方から聞いてみたんだ。 「答えは……出たの?」 「……………………」 「まだ……迷ってる?」 「……………………」 「会うの……怖い?」 「……………………怖い」 「そっか……怖いか」 唇を震わせて、”怖い” と呟く水渦(みうず)さんは、ひどく頼りなく見えた。 これは……難しいかな、会ってほしい、やり直してほしい、そう思うのは勝手な押し付けなのかな。 独りの食事、独りの生活、人の目を怖がって色んな人に傷付けられて。 彼女のキツさは自己防衛でもあるんだよ。 やられる前に先にやる、そういう生き方が染みついて、だけどそれは彼女自身も傷付けて、この悪循環を断ち切るには、唯一の家族で深い愛をくれた人……お姉さまに会うしかないと思った。
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