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思ったけど……僕の思いあがりだったのかな、ただの自己満足だったのかな。
水渦さんが怖がってるのに、それを無理に押し通しても良い結果は得られない。
水渦さんは唇を噛んでいた。
その顔は痛々しくて、……ああ、僕はやっぱり間違っているのかな。
____正論ですね、反吐が出ます、
つまりはこういう事なのか。
……
…………
「水渦さん、僕、」
言いかけた。
もしも、僕の思い上がりがアナタに負担をかけたとしたら____と、
だがそれは、彼女によって遮られた。
「こ、怖いです、だって……きっと私を恨んでる……姉の幸せ……ぜんぶ壊しちゃったから、ぜんぶ奪っちゃったから、……でも……本当は、出来る事なら会いたいです、ううん、……遠くから顔を見るだけでもいい、きっと姉は、私の顔など見たくないはずだもの、……でも、でもね、探したくても探せない、……視る事が出来ないんです、霊視なんて簡単なのに、誰の事も視れるのに、姉を探そうとすると手が……手が震えて印が結べない、……岡村さんに言われて、色々考えて……何度か……こっそり居場所だけでも探そうとしたけど、……どうしても震えてしまって……こんな事今までなかったのに」
水渦さんは言ったあと、歯を食い縛って泣くのを必死に堪えてた。
見てると辛くて、鼻の奥がズキズキ痛む。
だけど、気持ちは充分伝わった。
アナタがそう言ってくれたなら、僕は一緒に頑張るだけだ。
「そうなんだ、……印が結べなくなっちゃうくらい、お姉さまに会いたいんだね。うん……そうか、大丈夫、安心して。アナタの代わりに僕が視る。僕がお姉さまを探し出すから」
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