第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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ボタ、ボタ……ボタ、 堪え切れなくなったのか、目から涙が落下した。 水渦(みうず)さんは、真っ赤な目をして僕を見る。 泣き顔を隠す余裕もないようで、震える声でこう言った。 「……岡村さんが……姉を探す……?」 「うん、そうだよ。僕が探す。アナタはなんにもしなくていい。クッキーでも食べながら僕の隣にいたらいい」 水渦(みうず)さんの頭を撫ぜて、僕はニコッと笑ってみせた。 僕が笑ったくらいでは、彼女の不安はなくならない。 分かってる、でも……でもさ、無いよりはマシだろう? こんなに泣いて……ずっと不安で怖かったんだ。 泣き止んでほしい、笑ってほしい。 その為には____ 「水渦(みうず)さん、お姉さまの写真を持っている? 出来ればそれを見せてほしいんだ」 僕が言うと彼女はコクンと頷いて、スマホをそのまま差し出した。 ”ありがとう” 、声をかけて画面を見ると……そこには、一人の女性の笑顔があった。 優しそうな人だな……色白で頬に赤みがさしていて、笑った顔が人懐こい。 これは水渦(みうず)さんが撮ったのかな。 お姉さまはこちらに向かって片手を伸ばし……まるで、手を繋ごうとしてるみたいだ。 画像はあまりキレイじゃないから、お姉さまと一緒にいた頃、当時のデータを移し持っているのだろう。 この人が……水渦(みうず)さんのお姉さま……か、 孤独と後悔、闇の中で膝を抱えて泣いている、……水渦(みうず)さんを救える唯一の人だ。 たっぷり数分。 画面を見つめて笑顔を頭に叩き込む。 今はこれだけ、余計な情報(モノ)は必要ない。 この笑顔、差し出された優しい手、これだけあれば充分だ。 「じゃあ、ちょっと探してくる、」 水渦(みうず)さんにそれだけ言って、椅子に深く座り直して鼻から大きく息を吸う。 それを口からゆっくり吐いて、向かい合わせた両手両五指、記憶の通りに絡めてく。
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