第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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ダイジョウブ、きっと出来る。 霊視は出来た。 前に初ソロ、おはぎの現場であの仔の過去を視たんだよ。 その後だって、繁忙期のソロの現場で1人で霊視を成功させた。 あとは応用だ。 今回、過去を視るのがメインじゃない。 過去は必要最低限、メインは人を探す事。 お姉さまを探すんだ。 僕にすべてがかかってる、水渦(みうず)さんは震えてしまって探せない。 かと言ってこの性格だ。 探知の達人、キーマンさんに頼む事はしないだろう。 ましてや他の人、ジャッキーさんにも社長にも、きっと誰にも頼まない。 僕しかいない、だから、だから…………絶対に探し出す! 誓いを立てて、霊視の印をノンミスで終わらせた。 気合いを入れて、閉じた瞼に力を込めて、肉眼ではなく霊力(ちから)でもって視える映像(モノ)を待っていた。 …… ………… ……………… 頭の中ではお姉さまが笑ってる。 白い肌にバラの頬、長い髪は風に吹かれてサラサラと宙を舞う。 綺麗な人だと思った、……そしてどことなく、水渦(みうず)さんに似ているとも思った。 そんな事を考えながら、しばらくそうして黙っていると……閉じた瞼の暗闇が、眩い光で満たされた。 そこからはあっという間だった。 瞼の裏はキラキラで、上下左右の全方向、輝く光はまるでネオンか宝石だ。 「いつもながらキレイだなぁ」 独り言ちて瞼を開けば、そこは宇宙のど真ん中。 目に映るのは眩いばかりの数多の星々____ ____その……星畑の中、 一人の女性が立っていた。 優しい顔で、だけどちょっぴり淋し気に、僕に向かって片手を伸ばしてくれたんだ。 この人は……水渦(みうず)さんのお姉さま。 とうぜん、本物じゃあない。 見せてもらった写真を元に、僕の頭でこさえた人だ。 笑顔を視せるお姉さまは、僕にペコリと頭を下げると ”コッチコッチ” と声は出さずに手招きをする。 僕は大きく頷いて、何度も振り向く笑顔を追って歩き出す。 印は成功、霊視の霊力(ちから)が発動された。 あとは……前を歩くお姉さまが、僕に教えてくれるはず。 今、あなたはどこにいますか?
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