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◆
10分後。
着替えをすました社長は、金ラメの2本線が入った黒のジャージ姿で現れた。
センスはともかく筋骨逞しい身体が更に強調されている。
身長175cmの僕が見上げる程の高身長は、おそらく190cmを超えているのではないだろうか?
にしても、ガチマッチョ×スキンヘッド×ジャージの威圧感がこれほどとは。
深夜のコンビニでしゃがみこむ集団の中に社長がいても違和感は無いだろう。
「おまたせ、エイミー! じゃあ始めようか!」
「はい、よろしくお願いします」
僕はそう言って改めて一礼する。
「とは言っても、これが合っているかはわからない。けど、とりあえず第1案でいきますか」
パァン!
突然、社長は力強く手を打った。
室内に乾いた破裂音が響く。
「よし! 来い! エイミー! 迷ってウダウダ考えても答えは出ない! 知ってっか? 男ってのは拳と拳をぶつけ合えば大抵の事は解決できるんだ!」
そう叫び、足を大きく開いて腰を落とした社長が、僕に向けた指先をクイクイと曲げ、かかって来いと言っている。
いや、ちょっと待ってください!
拳と拳ってなんですか!?
無理です!
喧嘩なんてした事ないし、社長と僕じゃ大人と子供……いや、野獣と赤子だ!
僕は山ほどの言いたいことがあったけど、ジリジリと詰めてくる社長に後ずさりするのが精一杯だった。
「なんだエイミー、遠慮はいらん! 思い切り来い! 俺の身体は鋼鉄だ、物理攻撃の8割は無効にできる!」
「しゃ、しゃ、社長! え、遠慮なんかしてないです! これ研修と違うでしょ!」
「いや、研修だ! 漫画でよくあるだろ? 潜在能力を秘めた主人公が、追い詰められてもう駄目だってなった時に力が解放されるってシチュエーション! 俺はアレを狙ってる! こうしてエイミーを追い詰めたら放電できるようになるんじゃないかと思うんだ!」
「いや、難しいです! 是非他の方法でお願いします!」
「他のって言われてもなぁ……今のトコ思いつかないよ。あっ! わかった! エイミーはやっぱり遠慮してるんだな? 新入社員なのに社長に手を出すとのはチョット……的な! 安心しろ! この会社、誰が社長だと思ってる! 俺だぞ? 毎日が無礼講だ! それにホラ!」
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