第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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水渦(みうず)さん、」 僕は、僕の後ろで固まっている、水渦(みうず)さんに呼び掛けた。 振り向けば、……はは、愛華さんとおんなじだ。 唇を震わせてクシャリと顔を歪めてる。 ボロボロ泣いて、涙の雫が瞬きするたびボタボタ下に落ちていく。 「水渦(みうず)さん、大丈夫、大丈夫だよ。怖くない、平気だよ。お姉さまが待っている、」 僕の手をギュッと握って見上げる顔は、頼りなくて情けなくって、ただのか弱い女の子だ。 お姉さまに会いたいクセに、顔を近くで見たいクセに、グズグズ泣いてそれが出来ずに固まっている。 あと少し、ほんの少しの勇気が出れば、ココからちょこんと顔を出せば、お姉さまに会えるんだ。 「水渦(みうず)さん、頑張って、だいじょうぶ、ダイジョウブ、」 短い髪を撫ぜる、丸い背中をさする、すぼめた肩を叩く、……どうにかこうにか勇気を出してほしくって、だけど無理はさせたくなくて。 だいじょうぶ、お姉さまは待っててくれてる。 だからゆっくり、彼女の背中を優しく押せたら……そう思っていた____ ____と、そこに。 テチテチテチと白くてふわふわ。 お餅界のプリンセス、大福姫がやってきた。 さっきまで、長い話にお姫は飽きて丸くなって寝てたのに。 テチテチテチ、 テチテチテチテチテチ、 テチテチテチテチテチテチテチ……タタタタターーーー……タンッ!  えぇ!? お姫はテチテチ、たっぷり助走をつけたあと。 速度を上げるとタンッと踏み込みジャンプして、空中でクルッと華麗に半回転。 で、 ドッチーン!! ボリュームの、可愛いオシリで水渦(みうず)さんの背中にアタック! 「きゃっ!!」 推定6キロ。 ダイナマイトな猫又ボディが、水渦(みうず)さんを強制的に押し出した。 「……ね、猫又……?」 背中をさすり独り言ちた水渦(みうず)さん。 ふと、顔を上げれば、至近距離でお姉さまと目が合った。 「みぃちゃん……」 ボロボロに泣きながら笑顔を向ける愛華さん。 水渦(みうず)さんはビクッと身体を震わせて、だけどそこから動かずに、そして…… 「………………姉ちゃん……」 2人は時が止まったように……見つめ合っていた。
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