第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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水渦(みうず)さんが、ゆっくりゆっくり愛情ご飯を食べてる間。 僕は、愛華さんにこれまでの事情を簡単に説明したんだ。 水渦(みうず)さんとは同じ会社に勤めている事。 僕の方が年上だけど水渦(みうず)さんは先輩で、いつも助けてもらってる事。 仕事のスキルも高いから見習うべきがたくさんある事。 それから、水渦(みうず)さんの生い立ちや、お姉さまとどうして離れ離れになったのか、……そういったお話も、本人から直接聞いている事。 だから今回、お姉さまを2人で探して会いに来た事。 それらを話すと愛華さんは、眉毛を下げて半泣きでこう言った。 「そっかぁ……みぃちゃん、ちゃんとお勤めしてるんだねぇ。良かった……ずっと心配だったんだぁ。ほら、みぃちゃんって内気だし口下手でしょう? 昔から誤解されやすくてねぇ。でも、本当はとっても優しい良い子なの。嬉しいなぁ、みぃちゃんの良い所を分かってくれる人がいて、一緒になって私を探してくれる。そんな人がいるなんて愛華、愛華ぁ……すっごく嬉しいよ」 えへへと笑って、照れ顔で涙を拭う愛華さんは、僕に何度も ”ありがとう” を言ってくれた。 そんなのいいのに……僕は好きでしただけだし、姉妹が会えてすっごく嬉しい。 それにさ、僕までご馳走いただいちゃって、こちらこそ ”ありがとうございます” だよ。 それにしても……だ。 愛華さんから見た ”妹のみぃちゃん” と、僕の知ってる ”パイセンの水渦(みうず)さん” が同一人物と思えない。 ____ほら、みぃちゃんって内気だし口下手でしょう? 口下手……ではないよな。 理路整然と言いたい事はハッキリと、語気が強くてコトバは激辛。 (らん)さんは怖がってるし、僕はもう慣れたけどたまにヒィッてなるのよね。 それから内気、内気ねぇ。 確かに、内気なトコロもあるよね。 でも基本違うと思うんだ。 だってさ、内気な人が弥生さんとガチ喧嘩するかぁ? あの2人を同じ部屋にいさせたら、10分以内に取っ組み合いが始まるもん。 ………………ぶはっ! 思い出したらおかしくなってきちゃったよ。 僕が笑いを堪えていると、 「……ごちそうさまでした、」 ゆっくりと時間をかけて食べていた、水渦(みうず)さんがお箸を置いた。 見れば完食、米粒ひとつ残さずにキレイに平らげている。 「おそまつさまでしたぁ。2人とも、ぜんぶ食べてくれて嬉しいなぁ」 空になったお皿を眺めて、ふにゃっと笑う愛華さん。 隣に座る水渦(みうず)さんは、顔を赤らめ口角を上げていた。 この人も嬉しいんだろうな。 なんてって5年振りだもの。 愛華さんに会うのも、手料理を食べるのも。
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