第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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◆ 姉妹はしばらく抱き合って、声をあげて泣いていた。 何度も何度も ”ごめんね” と ”ありがと” を繰り返し、心のこもったそのコトバを口にするたび、5年間の空白が、会えなかった辛い時間が、優しい光で満たされていくようだった。 それから____ ____姉妹はようやく泣き止んだ。 泣きすぎたせいだろう。 2人共目がパンパンで、”3 3” ←こんな感じになってしまった(数字の ”3” を横に並べたみたいな感じの目ね)。 そんな顔で至近距離、姉妹は互いの目を見た途端…… 「「ぶはっ!」」 同時に吹き出し、今度はしばらく笑い転げたのだ。 …… ………… 冷たいおしぼりで目を冷やしつつ。 閉店した【ラブフラワー】ではつもる話に花が咲いていた。 「みぃちゃんはぁ、今どこに住んでるのぉ?」 まずは近状、愛華さんは妹がどこに住んでいるのか気になるようで、真っ先に住まいを聞いた。 「住んでる所はK市のアパートだよ。……K市ってH市(ここ)から遠くないんだよね、……もしかしたら、どこかですれ違ったりしたのかな、」 水渦(みうず)さんがそう言うと、愛華さんも目を丸くして驚いていた。 「みぃちゃん、K市なんだ……まさかそんなに近くにいたなんて……でも、すれ違ってはないと思うな。だって、どこかでみぃちゃんとすれ違ったら絶対にワカルもん! お姉ちゃん、どこか出かけるたんび、みぃちゃんがいたらなぁって探してたんだぁ」 そうか……愛華さん、普段の生活でもそうやって水渦(みうず)さんを探していたんだな。 でも、近いと言っても歩いて行ける距離じゃない。 電車に揺られて数十分はかかるのだ。 そう都合よく偶然再会……とはいかなかったのだろう。 ましてや、水渦(みうず)さんは仕事人間なのだ。 休みの日でも「特に用事はありませんので、急な依頼で霊媒師(ひと)がいないようなら連絡をください。私が行きますから」と常々宣言。 緊急時にいつ呼び出されても良いように、基本オウチで、地図を眺めて過ごすんだって言っていた(ゆえに道にめちゃくちゃ詳しい!)。
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