第二十四章 霊媒師 水渦の選択

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なんだよ、今夜の水渦(みうず)さんは泣いてばかりだな。 いつもの強気はどこ行った、…………あはは、なんてね。 いいよ、今夜はいっぱい泣けばいい。 誰の目も気にせずに、愛華さんとたくさん話してたくさん嬉しくなればいい。 そのあとも、姉妹の話が尽きる事はなかった。 姉はまるでお母さん。 妹がどんな暮らしをしているのか、心配で仕方が無くて、ひっきりなしに質問してる。 ちゃんとご飯を食べているのか、健康に問題はないか、友達は出来たのか。 それに対して水渦(みうず)さんは、 「ご飯は……テキトウに食べてる……身体は丈夫だよ、健康診断で引っ掛かったコトない……あ、あと、友達は…………」 最後のアンサー、ここで彼女は言葉に詰まった。 ですよねぇ、普段から ”友達は1人もいない” と、清々しいほどキッパリと、ボッチであると言っていた。 休みの日には誰にも会わずに地図ばっかし見てるのだ。 そりゃあコトバも詰まるだろ、……と、思っていたら。 苦し紛れか、水渦(みうず)さんはプルプルしながら無言で僕を指差した。 「そっかぁ、岡村さんがお友達なんだねぇ。そうだよねぇ、みぃちゃんと一緒に、お姉ちゃんのコト探してくれるくらいだもの。良かったねぇ、良いお友達が出来たねぇ。お姉ちゃん、嬉しいなぁ」 愛華さんはくしゃっと顔をほころばせ、それはそれは嬉しそうに言って、水渦(みうず)さんはコクッと頷く。 あ……うん、そうか。 僕は ”お友達” なんだな。 会社の後輩じゃあなく、ただの顔見知りでもなく、水渦(みうず)さんの友達なんだ。 なんだろ、なんだか嬉しいや。 「岡村さん、これからもぉ、みぃちゃんとぉ、仲良くしてあげてね!」 そう言ってバチンとウィンクしたけれど、愛華さんはうまく片目が瞑れずに、両目をバッチリ瞑ってた(やだ……カワイイ!)。 で、 この流れから、 「みぃちゃんと岡村さんはぁ、会社で知り合ったのかな? 同じ会社だって言ってたもんねぇ。お仕事はぁ、どんなコトをしているのぉ?」 僕らの仕事の話になった。 むぅ……とうとう来たか、この質問。 まぁ、遅かれ早かれ聞かれると思ってた。 可愛い大事な妹がどんな仕事をしてるのか、気になって当然だもの。 でも大丈夫かな……愛華さんって霊感ないんだよね?(前に水渦(みうず)さんが言ってた) なのにさ、”私達、僕達、霊媒師でーす!”って……ビックリさせないだろうか。
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