第七章 霊媒師休日

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あ! 神社見えてきた! 相変わらず大きな鳥居だなぁ。 あの鳥居をくぐって神社に入ると、途端に空気が変わるんだ。 なんて言うのか、悪いものか浄化されるような感じ。 昔は『ここは清らかな場所』っていう先入観で、そう感じるだけの事だと思ってたけど、今ならわかる。 きっと神社にも結界が張られていて、中に入るとその浄化作用で参拝者の身を清めてくれるんだ。 この神社はウチの会社の敷地面積の何倍もあるけれど、やっぱり神主様が張ってらっしゃるのだろうか? だとするとこの規模じゃあ、大変な作業だろうな。 やっぱり神主様はすごいや。 僕は神社の神様と神主様に敬意を込めて、鳥居前で一礼をする。 そして参道の端を歩き、いつもの手水舎へと向かった。 祓いの水はひんやりと冷たかった。 僕はまず右手に持った柄杓で左手を流す。 そして今度は持ち替えて右手を流す。 ああ、なんだか厳かな気分になるなぁ。 さて、次は右手に持ち替えて口をすすぐ……え? えっと……え? え?え?え? えーーーー!! にゃんこキターーーーーー!! 手水舎の大きな楕円の石甕(いしがめ)の縁。 いつの間に飛び乗ったのか、爪先立ちの四足は僕の隣で一心不乱に水を飲んでいる。 時折、不機嫌そうに後ろ足や前足を順にブルブル震わすのは、足が濡れるのが嫌なのだろう。 嫌ならこんな所で飲まなければいいのに……と、思いつつも、僕はエレガントに水を飲む猫に釘付けになった。 キレイな猫だなぁ……毛の色は一点の染みのない純白、そして短毛。 この仔はどこかで飼われてる猫なんだろうか? 首輪はないけど、艶々でふわっふわな毛並みは野良猫とは思えない。 年の頃は……うーん、けっこう身体が大きいから3才から5才くらいかな。
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