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う、嘘だろ……?
なんでそこでパチンコに行くのかな。
仕事をクビなったのに、住む所もなくなったのに、公園に寝泊りするってよっぽどなのに。
追い詰められた状況で、命を繋ぐ大事なお金をギャンブルに突っ込むなんて、正気の沙汰とは思えない。
”開いた口が塞がらない”……というのを、今まさに実践中の僕でさえ、これだけ唖然としちゃうんだから、水渦さんはもっとなんじゃないのかな。
そう思ってチラッと彼女を見てみると、アウチ……やっぱりだ。
険しい顔して眉間にシワを寄せている。
だよなぁ……無理もない。
大事な姉の婚約者さんがオカシナコトを言い出して、”コイツ信用出来るのか?” って、妹なら思ってしまうよ。
水渦さんは辛うじて今は黙っているけれど、いつまでもつかは分からない、下手したらキレキャラに逆戻りもあり得る話だ。
その時は僕がなんとかするしかないけど、なんだろ、チョット胃が痛い。
そんな空気を読んでいるのかいないのか。
本橋さんはさらに続けてこう言った。
「本当にばかな事をしたと思う、」
ですよねぇ、
「……今なら分かる、あの時俺が行くべき場所は、パチンコ屋じゃくて職安だった。なんでも良いからまずはどこかで働いて、生活を立て直すべきだったんだ」
あ……うん、ですよね。
本橋さん、今は分かっているんだな、……うん、そうだよね。
色んな不運がありすぎて、マトモな判断が出来なかったんだ。
そんな事を考えながら、僕はコソッと水渦さんを盗み見た。
彼女もまた同じように感じているのか、眉間のシワがさっきよりはユルくなってる。
「結局……なけなしの全財産をパチンコに溶かしちまってスッカラカン。おにぎりも買えなくて、腹が減って惨めで惨めで……ま、…………自業自得なんだけど、俺はいよいよ追い詰められていったんだ、」
むぅ……しかもパチンコ、負けてしまったのか……こう言ったらアレだけど、マジでガチで、正気の沙汰とは思えない(2回目……)。
が、それはぜんぶ過去の話だ。
さっきも言ってたじゃない、”ばかな事をした” って。
今はそれを分かっているから、こうして話してくれるんだ、……や、でも、正直に話し過ぎとも思うけど。
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