第二十五章 霊媒師 女子会

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テテテテテテテン♪ ←某有名アプリの電話着信音・1コール目 テテテテテテテン♪ ←某有名アプリの電話着信音・2コール目 テテテテ、(トンッ)←3コール目の途中でタップ 「もしもーし! ユリちゃんかぁ?」 ____はい、ユリです! お忙しいトコごめんなさい。弥生さん、今少しお話しても大丈夫ですか? 「ぜんぜんダイジョウブだよー、どしたぁ?」 ____良かった、忙しかったらすぐに切ろうと思ってたんです。あのね、今入っていただいてる現場の進捗はどんな感じですか? 「んー、どーだろ。現場(ココ)にいる悪霊達(ヤツら)一体一体は雑魚なんだけど、量が多いからなぁ。ぜんぶ滅するには少し時間がかかるかも……、つーか、そんなコト聞いてどうした? 新たな依頼が入ったのか?」 ____ううん、そうじゃないんですけど、あの実は、もし早くに終わりそうなら、明日一緒にゴハンでもどうかなぁって、 「なに!? ユリちゃんとゴハン!? 行く! 絶対行く! そういうコトならとっとと滅して終わらすわ!」 ____わぁ! ホントですか? 嬉しい! あ、でも無理しないでくださいよ? もし都合が合えばなぁってお誘いしたけど、無理して怪我でもしたら大変! 難しそうならまた今度にしても良いし、 「ちょっとちょっとー! アタシを誰だと思ってんの、弥生サマよ? 悪霊の百体や二百体、余裕っすわ。しかも、今日は1人じゃない。無限霊矢のエイミーちゃんも一緒だもん! ねっ! エイミーちゃん!」 そう言って、元気な笑顔で僕に振り向く弥生さんは、右手にスマホ、左手には霊刀を握りしめ、電話しながら悪霊達を片っ端から斬り捨てている。 楽しそうにお喋りしながら、飛んで跳ねて時に走って、襲い来る悪霊達を息も切らさず滅してるんだ、……って、相変わらずスゴイな。 S県の某所。 僕は超久しぶりに弥生さんとツーマンセルを組み、この廃ビルの現場に来たのだが…… グルリと360度、襲い来る悪霊達を嬉々として迎え撃ち、斬れば斬る程ハイになる弥生さん。 僕も隣で霊矢を撃つけど、僕の3倍滅してる。 猫のようなしなやかさ。 サイドに飛んで着地と同時に上に飛ぶ。 身体をしならせ複数からの攻撃を、踊るようにかわしまくったその挙句。 ユリちゃんからの着信を、普通に、そう、フッツーに出ちゃったの。 ありえないだろ。 弥生さんがいくら強いと言ったって、そりゃあ僕もいるんだけども、”対 悪霊戦” 、その最中にフツー電話に出るかなぁ。 や、もう、スゴイわ、色んな意味で、総合的にスゴイわ。 「えぇ? どこかお勧めのお店はあるかって?(バッサァァッ!)あるある!(ズザーーーッ!)アタシ、行きつけの飲み屋がいっぱいあるんだ!(ズブリ!)その中でも特にお勧めは……って(バサッ!バサッ!)あ、そか! ユリちゃんまだハタチになってないのか!(霊刀振り上げてから……ザンッ!) んー、となると、料理中心に考えた方が良いな(バサァァァァァッ)、でもアタシは酒飲みたいし……あーーー!(バサ!ドン!蹴りー!)あった! すっごいお勧めの店! 料理も酒もウマイんだ! そこの場所とか詳しいコト、あとでメールで送るよ! 時間はユリちゃんが決めて良いから、あとでアタシにもメールちょうだい! ん? 他にも誘って良いかって? 良いよ! 大勢の方が楽しいだろ! ヨシ、決まり! そんじゃあ、アタシはとっとと仕事終わらすわ! じゃあね!」 めちゃゴキゲンな弥生さんは電話を切ると、残り少ない悪霊達をひと睨み(電話しながら大半斬り捨てた)。 「悪いな、遊んでる暇はなくなったわ。アタシさ、明日、会社の子とゴハン食べに行くんだよ。だからもう帰る____ばいばい、」 すこぶるラフなご挨拶。 同時、霊刀を真横に斬って悪霊達を無にかえす。 最期、僕らの耳に届いた叫びは、 『ながらスマホ(・・・・・・)してんじゃねぇよぉ…………! グハアッ!!』 だったのだ。
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