第二十五章 霊媒師 女子会

4/47
前へ
/2550ページ
次へ
「エイミーちゃん?」 もう一度名前を呼ばれてハッとする。 イカンイカン、ぼーっとしちゃった。 こんなん怪しすぎるわ。 「ごめん、なんでもないよ。あの、……ホラ、そこに大福がいるでしょ。あまりに可愛くて見惚れてたんだ」 うそ、本当はアナタに見惚れたんだけどね。 「大福? あー! ホントだ! おーい、大福ー! 昨日振りだなぁ! 今夜は一緒に飲み明かそうぜー! って、猫だから酒はだめか。じゃあ白湯だな!」 『うなぁん(ゴッチン! すりーん)』 「うっひゃー! 冷たっ! あはは、でも良いよ。猫の頭突きって好きなヤツにしかしないんだろ? アタシに頭突きしてくれて嬉しいよ」 え、マジで? じゃあ僕も頭突きしちゃおっかな。 親愛の頭突きを出来る訳もなく、僕と弥生さんと大福は、ユリちゃんの到着を待っていた。 時刻は5時25分、そろそろかな……と思っていたら。 タタタタタタタタ! 駅の改札、そこからダッシュでやってくるのは……ユリちゃんだ! 「おーい! ユリちゃーん!」 弥生さんがブンブン両手を振っている。 ユリちゃんも手をブンブン振り返しつつ、あっという間に僕らの前にやってきた(意外と足早いな)。 「お二人共もういらしてたんですね、す、すみません! 電車が途中でノロノロ運転になっちゃって遅くなりました!」 ユリちゃんは一気に言うと、両手を合わせてあやまった。 「ぜんぜん遅くないよ。約束の時間より早いじゃんか。それより……ユリちゃんと飲みだなんてスッゲー嬉しいわっ! 誘ってくれてありがと! 今夜はとことん飲もうぜ! 遅くなったらウチに泊れば良いし。誠が文句言うようならアタシが電話で言ってやるから安心しとけ!」 あらら、弥生さんたらユリちゃんを家に帰す気ないっぽい。 てか、そんなん言ったら社長が黙っていなさそう。 ランエボで迎えにくるに決まってる。 てか本当に来たら、どさくさ紛れに僕も家まで送ってもらおっと。 薄ピンクのセーターにデニムを合わせ、モスグリーンのオーバーサイズのMA1(エムエーワン)、足元は同じモスグリーンのスニーカー。 若さ溢れるファッションだ。 今日も可愛いユリちゃんは、背中に背負ったリュックの中から2枚の紙を取り出して、僕と弥生さんに手渡してくれたんだけど……これはなにかな? 「えっとですね、まずはお二人とも昨日はお疲れさまでした! 今日は一緒にゴハンを食べていただけるのすっごい嬉しいです! それでね、嬉しいから ”しおり” を作ってきたんです。今夜のゴハン、みんなでワイワイたくさん楽しみましょうね!」 ニコニコ顔のユリちゃん、今夜の為にわざわざ ”しおり” を作ってくれたのか、懐かしいなぁ。 小学生の頃、遠足に行く時は担任の先生から ”遠足のしおり” を渡されたっけ。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2370人が本棚に入れています
本棚に追加