第二十五章 霊媒師 女子会

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「ちょ! なんでクソ水渦(みうず)もいるの! ユリちゃん、アタシとアイツが仲悪いの知ってんだろぉ?」 さすがの弥生さんも、ユリちゃんが相手となると言い方がマイルドだ。 とは言ってもすっごい困った感じだけども。 「あ、あの、ご、ご、ごめんなさい! やっぱり……ダメでした……? 昨日の夜、弥生さんとメールしてた時、ラリーになってたくさん送り合ったじゃないですか。その中の最後のメールで ”水渦(みうず)さんも参加で良いですか?” って送ったんだけど……見てません……?」 アセアセしているユリちゃんが、昨日のメールで水渦(みうず)さんのコトを送ったと言っている。 それなのに知らないの? もしかして……読んでいないとか? 聞けば案の定。 待ち合わせの時間と場所を決めた後、弥生さんは寝落ちでメールを見ていなかったと言うのだ。 なんてこった。 「そっかぁ……見てなかったんですね……返信がないから、私も大丈夫かなぁと思ったんだけど、マコち……や、えと、社長が『イヤならすぐに返事寄越すだろ。寄越さねぇのはオッケーって意味じゃねぇか?』って……それで私、そうかもしれないと思ってしまって……すみません」 しょぼーーーーん、 ユリちゃんが俯き気味にそう言った。 むぅ……行き違いというか、なんというか。 弥生さん、朝起きてからもメール見なかったのかなぁ。 ま、見なかったからこうなったんだよなぁ。 困ったように黙り込む女性陣。 なのでココでちょっと質問してみようと思う。 「ねぇユリちゃん、水渦(みうず)さんはなんて? 弥生さんが参加するって言ったんでしょう?」 「言いました。 「少し考えて良いですか?」って一度電話を切って、折り返しくれたんですけど、参加しますって。弥生さんがいても良いと言ってました」 「そうなんだ、水渦(みうず)さんはオッケーなんだ……」 ふぅん……なるほど……NGじゃないんだ…………そっかぁ。 水渦(みうず)さんがオッケーと言うのなら、もしかして、なんとかなるんじゃないか? そもそも、今の水渦(みうず)さんは昔とは違うんだ。 大好きな愛華さんと再会した事で、氷の心が溶け始めている。 あれからまた全然会う機会がなくて、もう2か月は会っていない。 でも、メールはたまにしてる(こないだメアド交換した)。 たいした用のない雑談メールはトゲはなくて穏やかだ。 水渦(みうず)さんは愛華さんのオウチに引っ越して、今は2人で暮らしてる(本橋さんは向かいのアパートに引っ越した)。 毎日ゴハンは3人で食べてるみたいだし……そう、”ネオ水渦(みうず)さん” なのだから、もう喧嘩はしないんじゃないのかな……たぶん、きっと、そうだといいな。 もし……もしも、喧嘩になったら。 その時は、”取っ組合い” でも、”霊術 対 霊術” でもなく、腕相撲対決にしてもらおう(ウーノでも可)。 その辺りを女性陣に説明し(超ダイジェスト版で)、ついでにコソッと弥生さんに「これで女子会中止にしたらユリちゃん泣いちゃうかも……」と吹き込んだ。 この一言が決め手だった。 弥生さんは、半べそのユリちゃんをギュッと抱っこした後に、 「ごねちゃって悪かった。大丈夫、中止になんかしないよ。アタシだって今日は楽しみにしてたんだ。飲み会……じゃなかった、女子会は続行だ。さぁ、行こうぜ!」 歯を見せてニカッと笑い、お店に向かって歩き出したのだ。
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