第七章 霊媒師休日

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ありったけの想いを込めて、パチ……パチ……パチ……。 何度も何度も瞬きしながら、白猫を驚かせないようにゆっくりとしゃがむ。 目線をなるべく近くにしたいのと、立っていては身体の大きさの違いに怖がらせてしまうと思ったからだ。 白猫はそんな僕の気持ちをわかってくれたのか、それともただの好奇心か、すっと立ち上がると長い尻尾を左右にゆっくり振りながら僕に近づいてきた。 にゃんこキターーーーーーーー!! が!しかし!この狂喜乱舞な気持ちを表に出すな! 決して怖がらせてはいけない! 尻尾はゆっくりと動いてる! あれは僕に興味を持っている証拠だ! あの尻尾が高速で左右に揺れ始めたらイラつき始めたという事だから、尻尾をよく観察しながら距離を縮めよう! ファイッ!! 僕は更に身を低くする為、正座をしながら両腕を地に着けた。 いわゆる猫でいう香箱座りの格好だ。 遠くから「見ちゃいけません!」という女性の声と幼児の笑い声が聞こえてくるが、もはや後には引けない。 なぁに月曜日の午前中、参拝者はまばらで傷は浅い。
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