第二十五章 霊媒師 女子会

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◆ 「駅からだいたい20分くらいだ」 弥生さんは楽し気にそう言った。 そんな様子に安心したのか、ユリちゃんもニコニコ笑って楽しそう。 僕はと言えば……この道に見覚えがあるな。 H駅と言えば2か月前にもココに来てる。 水渦(みうず)さんと2人、愛華さんのお店を訪ねた時だ。 これから行くお店、【ラブフラワー】だったりして、……や、まさかねぇ。 そんな偶然あるハズないよ、……で、でもな、弥生さんの言う ”行きつけのお店” 、ジャッキーさん曰く、”そこいらじゅうにあるんだ、そりゃあもう引くくらいに。東京都下、特にM野エリアとS部エリアが多い”……らしいから、絶対ないとは言い切れない(H駅近辺はS部エリア内)。 てか、この人どんだけ飲んでんだ。 【株式会社おくりび・第一回女子会のしおり♪】、これにお店の名前は書いていなかった。 てか、参加メンバーの他に書いてあるのは、”女子会楽しみましょう♪” とか ”いつも現場おつかれさまです” とか ”怪我に気を付けてご安全に” とか ”家に帰るまでが現場” とかとかで、お店に関する情報がない。 代わり、社長が書いたであろう「ユリに酒飲ませるなよ」という注意文と、大和さんの「楽しんできてね♪YAMATO」のサインなのだが、コレ……何気スゴクない? 大和さんのファンが見たらヨダレものだよねぇ。 コピーじゃないし直筆だし、もしかしたら高値で売れるかもしれない(売らないけど)。 行き先が分からないままテクテク歩く、ひたすら歩く。 その間にお店の事を聞こうかと思ったが、弥生さんとユリちゃんが話し込んでて入り込む隙がない。 無理に入れば聞けるかもしれないけど、そこまでせずとも、そのうちに着くだろうと2人の後を歩いてた。 あ、このコンビニ! 2か月前も見たぞ! でもってココを曲がって真っすぐ行くと、愛華さんのお店のある【はやぶさ商店街】があるんだ、……って、あったー! つか、えぇ!  弥生さん、「コッチコッチ」と商店街に入って行った! え、ちょ、まさか、やっぱり、コレって、これから行くお店って、ラブ……ラブ…………、 「着いたぞー! ここがアタシのチョーお勧めだ! 酒も料理もめちゃくちゃ美味くて、女将もサイコーなんだ! 可愛くて優しくて、スッゲー面白いの!」 ガチ笑顔で「ココ! ココ!」と指をさす弥生さん。 ユリちゃんは「わぁ……素敵なお店(ハート」とキラキラ顔だ。 そして僕と大福は、 「ラ、ラブフラワーーーー!」 『う、うななななーーーー!』 と、生死と種族をピョインと越えた、見事なハモリをみせたのだった。 45c237b7-512c-4252-a0dd-21561ea9a60c
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